ギャッベとキリムを使い分ける
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お部屋をカジュアルな雰囲気にしたいとき、トライバルラグは有力な候補の一つになります。
一口にトライバルラグと言ってもいくつもの種類がありますが、中でもギャッベとキリムは本質的にも価格的にも、最もカジュアルな選択肢となるでしょう。
ギャッベとキリムには、それぞれに異なる構造、デザイン、用途が存在するため、それを知っておくことば失敗のないインテリアコーディネートを実現することが可能となります。
両者の詳細については当サイト内【トライバルラグの基礎知識】をご覧いただくとして、ここではその使い分けについて解説します。
ギャッベは、主にイラン南西部を中心に居住するカシュガイとルリの部族民によって製作されるトライバルラグの一種で、暖かみのある質感と素朴なデザインが特徴です。
ウールのパイル織で、縦糸、横糸、パイル糸によって構成されています。
このウールは、主に部族民が育てるトルキー・カシュガイ種やルリ種の羊から採取され、とても丈夫で長持ちするのが特徴です。
ギャッベのデザインには、動植物のモチーフや幾何学的模様が多く使われていますが、これらは遊牧民の生活や信仰、自然環境を反映したものです。
いわばギャッベはただの敷物ではなく、その背後にある物語や文化を感じることができる要素を兼ね備えています。
一方、キリムは厚みのない平織の絨毯で、素朴でありながら多彩なデザインが特徴です。
カシュガイやルリ以外の部族によっても製作されていて、各部族ならではの個性を楽しむことができます。
キリム は縦糸と横糸のみによって構成されており、パイル織のギャッベと比較すると極めて薄く、軽くて持ち運びが容易なのが利点です。
このためキリムは敷物としてだけでなく多目的に使用されており、壁掛けや家具のカバーなどとしても使用できます。
色使いも豊富で、遊牧民や農村の生活様式を反映したモチーフが鮮やかな色合いで織り込まれています。
このように異なる特徴を持つギャッベとキリムですが、それぞれが活躍する場所にも違いがあります。
ギャッベは通常、温かさや柔らかさを求める場所で役立ちます。
リビングルームや寝室など、居心地の良さを重視したい空間に適しており、家族が集まる場所やくつろげるスペースに最適です。
家庭に温かみをもたらすアイテムとして、心の安らぎを提供します。
足元から温かさを感じられ、心地よい空間を演出することができます。
また家庭内での頻繁な使用にも耐え得るため、日常生活において長持ちするという利点もあります。
逆にキリムは軽くて扱い易いことからインテリアに取り入れやすく、ダイニングテーブルの下や玄関マットといった目的で使用されることが多いようです。
その軽やかさから、モダンでスタイリッシュな空間作りに貢献し、個性を引き立てる役目を果たします。
一方でキリムは平織のため、手入れが易しい反面、摩擦には弱いとされます。
そのため、使用する場所や頻度によっては、ギャッベよりも早く傷む可能性を考える必要があるでしょう。
価格面についても、ギャッベとキリムには違いがあります。
一般的に、ギャッベは製作過程が手間がかかるため、価格が高めであることが多いです。
これは、質の良いウールや手織りの技術が求められるためです。
対照的に、キリムは通常、比較的安価で市場に出回っていることが多く、手軽に購入しやすいアイテムとなっています。
経済的な側面や予算を考慮する際、ギャッベとキリムの特徴を理解することで、コストパフォーマンスに優れた選択ができるでしょう。
ペルシャ文化やイランの遊牧民の生活スタイルを理解しながら、どちらを選ぶかは使用者の趣向や目的に依存します。
最終的には、ギャッベとキリムを使い分ける際、空間の特性や使用目的、好みのデザイン、価格、耐久性などを総合的に考慮することが大切です。
ギャッベは、家庭のインテリアをより温かく、居心地の良いものにするために素晴らしい選択肢であり、日常的な使用にも耐えうる価値を持っています。
一方で、キリムはその簡便さとデザインの多様性から、様々なシーンでの活用が期待できる柔軟なアイテムです。
このように、それぞれに独自の特性や魅力を持つギャッベとキリムを適切に使い分けることは、インテリアを多彩にし、生活空間を自分らしいスタイルでコーディネートするための鍵となります。
自らのライフスタイルや利用シーンに合わせて、ギャッベとキリムのよさを最大限に引き出すことで、より快適で美しい空間を作り上げることができるでしょう。
双方が持つお魅力を理解し、使い分けることこそが、インテリアコーディネートの真髄を楽しむ第一歩と言えるのです。

