ペルシャ絨毯は値段があってないようなものなのか?

ペルシャ絨毯は値段があってないようなものなのか?

ペルシャ絨毯は値段があってないようなものなのか?

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「ペルシャ絨毯は値段があってないようなもの」とおっしゃるお客様がいます。実際にはそんなことはないのですが、お客様の誤解を招きかねない事実があるのは確かです。
それについてはあとで述べるとして、ペルシャ絨毯の価格の決め方は一般の消費者には分かりにくいものです。
1+1=2のような単純なものではないからです。
まず初めに、ペルシャ絨毯の価格設定のシステムについて述べることにします。

ペルシャ絨毯の価格設定のメカニズムは、複雑で多様な要因によって形成されています。
まず、ペルシャ絨毯を製作するのに必要な経費があります。
ペルシャ絨毯の製作に必要な経費には、以下のようなものがあります。
1.原材料費:
-糸の購入費用。
: 2.労働費:
-職人の人件費(熟練の職人を雇う場合、技能に応じて高額になることがあります)。 3. 設備費:
-織機などの購入またはレンタル費。
4.土地と施設費:
-生産工場や作業場の賃貸料や維持管理費。
5.輸送費:
-絨毯を市場やクライアントに届けるための輸送経費。
6.マーケティング費:
-宣伝広告、販売促進、展示会参加費用など。
7.管理費:
-工房の管理にかかる人件費、光熱費、事務所の運営費などの経費。
8.効率向上のための投資:
-最新の技術やトレーニングへの投資。
需要は特定の価格で消費者が購入したいと思う商品の量を指し、価格が下がると需要は増加し、逆に上昇すれば減少します。
また、供給は生産者が販売したいと思う商品の量で、通常、価格が上昇すれば供給する意欲が高まります。
そして市場の価格は、需要と供給が等しくなる「均衡点」に達することで決まりますが、需要が供給を上回れば不足が生じて価格は上昇し、逆に供給が需要を上回れば余剰が発生し価格が低下するのです。
市場の外的要因として、経済環境や政治的状況、消費者のトレンド、競争状況なども価格に影響を与え、原材料費の変動や競合他社の価格設定が市場価格に反映される要因となります。

ペルシャ絨毯は産地ごとに独自の模様や色合いが存在しますが、複雑なデザインや特殊なパターンが施されたものや、人気のあるデザインや色は高価になることがあります。
また著名な絨毯作家が手がけたものや、特別に製作されたものはプレミアム価格が付くこともあります。
生産数の少ない産地や工房の作品は希少価値が付加され、価格が高くなることがありますし、アンティークやオールドの絨毯ともなれば、その希少性に独特の風合いが加わり、コレクターや愛好者の人気から価値を高めることもあります。
これらが市場の原理、すなわち需要と供給のバランスによる価格決定のシステムによるものです。
それゆえ、ときには「価格が妥当でない」と感じられる事態が生じ、特定のデザインや産地、工房の絨毯が他と比べて高い価格で販売されると、その理由が理解できずに評価に疑問を抱くことがあるのです。

市場における価格決定は供給と需要の基本的原理に基づくものであるがゆえ、消費者は常にその動向を注視し適応していく必要があります。
ペルシャ絨毯について知れば知るほどほど、価格が適正かどうか、またその価格が市場の流通とは無関係に存在しているのかという疑問が生じるのは自然なことです。
しかし、こうした市場原理をを理解していれば、この世に値段があってないようなものなど存在しないことが分かるでしょう。
しかし、最初に述べたように一部の絨毯屋の大幅値引を前提とした出鱈目な価格設定がこうした誤解を招く要因になっているのは紛れもない事実です。
インチキ絨毯屋が100パーセント悪いのは当然ですが、そうした悪徳絨毯をのさばらしているのが消費者自身の軽率な判断であるということも忘れてはなりません。

オレオレ詐欺に引っかかるお年寄りの多くが「自分だけは絶対に引っかからないと信じていた」といいます。
世の中に美味い話などありません。
安く買ったと自慢していたクム・シルクが、実は有名工房の銘が後付けされたマラゲ産の偽物で、しかも相場よりも高く買わされていた……。
あとで後悔しないために、ここで述べたことを頭に入れておいてください。
世の中に美味い話など絶対にないということを肝に銘じていただけたらと思います。

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