[第　話]

ペルシャ絨毯は敷物であると同時にイランの伝統工芸品でもあります。
伝統工芸品とは、ある地域や民族に伝わる技術を用いて製作される品を指し、多世代に渡って継承されてきた工法やデザインは歴史や文化などを反映しています。
また地域や民族のアイデンティティを伝える役割も果たしており、その独自性や文化的な価値から、多くの人々に愛され、コレクションされることがあります。

一方、ペルシャ風絨毯とは、本物のペルシャ絨毯を模倣した絨毯のことを指します。
風（ふう）とは姿や様子を表す言葉で、ペルシャ風というのは「ペルシャの姿をした」という意味です。
このペルシャの姿をした絨毯は様々な国で手織や機械織によって製作されていますが、製作工程、素材、品質などに違いがあります。
ペルシャ風絨毯は本物のペルシャ絨毯よりも安価で入手できるため、一部の消費者には人気があります。
しかし、本物に比べると質感や耐久性などが劣るのが一般的です。
また、手織で製作された一部を除くと伝統工芸品としての価値はありません。
ペルシャ風絨毯は、手軽にペルシャ絨毯の雰囲気を味わうことができる一方で、本物の価値や魅力を完全には代替できない点に注意する必要があります。

ペルシャ絨毯とペルシャ風絨毯の違いは、主に製作方法、素材、デザイン、品質、そして価格などにあります。

1. 製作方法

ペルシャ絨毯はイランで手織りされる伝統的な絨毯であり、高度な手織り技術と緻密なデザインが特徴です。
それに対しペルシャ風絨毯はペルシャ絨毯のスタイルやデザインを模倣して製作されたものであり、製作方法が異なる場合があります。
ペルシャ風絨毯には手織のものと機械織のものの2種類があります。
手織のものはイラン以外の国で製作されるもので、それらの国にはトルコ、ルーマニア、エジプト、インド、パキスタン、中国などがあります。
機械織のものは世界中で製作されており、代表的な国としてはイランをはじめ、トルコ、エジプト、イスラエル、ベルギー、中国などがあります。

2. 素材

ペルシャ絨毯は、伝統的に高品質な素材（羊毛、絹など）が使用されます。
これらの素材は、柔らかさ、耐久性、そして美しい光沢を持っています。
それに対しペルシャ風絨毯は、素材の質が異なる場合があります。
とりわけ機械織のペルシャ風絨毯にはレーヨンやポリプロピレンなどの安価な化学繊維が使用されることがあり、品質が異なる可能性があります。

3. デザイン

ペルシャ絨毯は、独自の伝統的なデザインや色が特徴的であり、花柄、メダリオン模様、幾何学模様などが一般的です。
またパイルの染色には天然染料が使用されていれものも多くあります。
それに対しペルシャ風の絨毯は、ペルシャ絨毯のデザインを模倣しているため、似たようなデザインや色が見られますが、オリジナルのペルシャ絨毯ほど緻密で繊細なデザインではない場合があります。
また、パイルの染色には化学染料が使用されています。

4. 品質と価格

ペルシャ絨毯は、高い品質と美しさが評価され、そのため価格も高めです。
手織の繊細な作業や高品質な素材を使用するため、それが価格に反映するのです。
それに対しペルシャ風絨毯は、一般に低価格ゆお入手しやすいですが、その価格に応じた品質と耐久性になることがあります。

購入を検討する際には、これらを考慮することが必要です。 ペルシャ風絨毯をペルシャ絨毯と偽って販売している者もいます。 「美味い話には裏がある」。 このことだけは絶対に忘れないでください。