ペルシャ絨毯の美の基準とは?

ペルシャ絨毯の美の基準とは?

ペルシャ絨毯の美の基準とは?

[第 話]

「どうして、こんな絨毯が何百万円もするのか分からない」とおっしゃる方がいます。
素材や染料の質、ノット数や織りの善し悪しなどについてご説明するのですが、そうした要素だけでは測れないところにペルシャ絨毯の価値があるのもまた事実です。
言うなれば「美」の基準です。

美を分かりやすく説明するのはなかなかに難しいことです。
美は感性の領域のことであり、個性の問題でもあり、人それぞれに価値基準がまったく違うからです。
以前、「どうしてこの絨毯が美しいのですか?」と問われた男性のお客様にこう答えたことがありました。
「街を歩いていて、どの女性が美人であるか判断の基準を教えてくれと言われているのと同じです」と。

お客様は苦笑いされていましたが、判断の基準は簡単です。
たくさんの作品を日常的に見ればよいのです。
たくさんの女性を見ていれば自分にとっての美人が決まってくるのと同じように、多くのペルシャ絨毯の中から秀でた作品が分かってきます。
その秘訣は、自分が素直な感性を持ち続けられるかどうかです。
ペルシャ絨毯の世界は、店の美的世界と客の美的世界が一致したところに成立する商売といえるでしょう。
どちらかが欠けていても駄目なのです。

ペルシャ絨毯の世界の面白い点は、このように店と客の感性が一致したところに商売が成立することにあります。
これが一致しないと商いは成立しません。
安いものなら衝動買いもあるでしょうが、高額なペルシャ絨毯となるとなかなかそうはゆきません。

客が商品を見て気に入ったとして、問題は値段です。
店のオーナーも惚れて集めているので安くは売りたくない。
ましてペルシャ絨毯は基本的には同じものが二つとない世界なので、なおさらです。
絨毯商もただ見せるためだけに店をやっている訳ではありません。
売るためですから、あとは折衝です。
どうしても欲しければ、支払いなどの希望は相談すればよいでしょう。
そこは同じ道の数奇者同士なので、何らかの解決策は見つかるものです。
手付金、分割払い、後日のまとめ払い等々です。

絨毯商にとって一番嬉しいことは、自分が選んだ商品にお客様が惚れてくれることなのです。
それが絨毯商にとっての生甲斐であり、励みになるのです。
そういうお客様が常連様になり、お得意様になってゆきます。
絨毯商は自分が気に入ったものだけを売る、お客様も同じように気に入ったものだけを買う、ただそれだけのことなのですが普通の人には分かりにくい、こだわりの世界と思われるかもしれません。

お問い合わせ・来店予約

お問合せ・来店予約は
お電話もしくはメールフォームにてお受けしています。
お気軽にご連絡ください。