キリムとジャジムの違い

キリムとジャジムの違い

キリムとジャジムの違い

[第 話]

平織の敷物はイランならではの手工芸品の一つとして知られてきました。
これらはイラン国内だけでなく世界中で人気があり、織物への興味からイランという国を知った人もいることでしょう。
イランの伝統的な平織の敷物としては、キリムとジャジムの二つを挙げることができます。
その美しさは甲乙つけがたく、多くの人たちが装飾や実用品として愛用しています。
しかし、キリムとジャジムの違いが分からない人もいるかもしれません。
ここでは、これらの違いについて解説してゆきます。

1. キリムとは?

キリムとジャジムの違いの前に、それぞれについて知っておくことが大切です。
これは、両者の違いを理解する基本となります。
キリムは一般にウールや木綿を使って織られた平織の敷物のことです。
キリムは絨毯と違ってパイルがなく、裏表ともに平らで滑らかなので両面を使用できます。
細くて柔らかい糸が使用されるほど、キリムの品質が高くなり、そのため羊の喉の下や脇の下の柔らかいウールが用いられることもあります。
イランにおけるキリム織りの歴史は7000年以上に及ぶともいわれており、これはイランの歴史におけるキリムの重要性を示しています。
キリムにはいくつかのサイズがありますが、最も一般的なサイズは 1 メートル x 1.5 メートルで、このサイズはイランでは「ザロニム」と呼ばれます。

2. ジャジムとは?

ジャジムもパイルがなく、両面で使用できます。
ジャジムの素材にはウール、コットン、またはそれらの組み合わせが使用されますが、一般的にはウールが用いられます。
使用するウールの量が多くて重く、主に冬の防寒用にされます。
ジャジムもまた、昔からイランの村人によって織られてきました。
しかし、その歴史に関する正確な情報はありません。
ジャジムという語はペルシャ語であるとする人もいますが、その語源をトルコ語にあると唱える人もいます。
面白いのは、ジャジムはイラン国内の多くの地域で人気があるため、それぞれの地域ごとに異なる名称がつけられているということです。
たとえば、イラムではジュールと呼ばれます。

3. キリムとジャジムの違い

キリムとジャジムについて簡単に解説しましたが、以下ではそれらの違いについて述べます。
これら二種類の敷物はいくつかの点で異なります。
その違いを知ることで、購入時にニーズに応じたものを選択できることでしょう。

⑴ 厚み
キリムとジャジムの一番の違いはその厚みです。
ジャジムにはどっしりとした厚みがあります。
キリムはジャジムよりも薄く、柔らかい質感が特徴です。
したがって、キリムは敷物とするだけではなく、ソファカバーやテーブルクロスなど、様々な用途に使用できます。

⑵ サイズ
キリムは大きなものから小さなものまで様々なサイズで織られており、サイズは実に多様です。
しかし、ジャジムは通常、細長い形で織られ、そろらを繋ぎ合わせます。
そのため、比較的大きなサイズのものしかありません。

⑶ 織り方
キリムもジャジムも経糸と緯糸を使用して織られますが、キリム織りには絨毯と同じ織機が使用され、ジャジム織りには主に手機が使用されます。
このため、これら二つの質感は異なります。
ジャジムはキリムよりも目が詰まっており滑らかです。

⑷ 縦糸
キリムとジャジムは縦糸の数が異なります。
ジャジムにはキリムより多くの縦糸が必要とされるため、当然、縦糸は細くなります。
また、キリムでは縦糸は横糸で隠されますが、ジャジムでは縦糸が露出しています。
ジャジム織りには色のついた縦糸が使われており、それが見える訳です。
より正確に言えば、ジャジムのデザインは縦糸と横糸によって構成されるということです。

⑸ デザイン
キリムとジャジムのもう一つの違いは、そのデザインです。
ジャジムは縦糸と横糸によってデザインが構成されることから、デザインはストライプ状にならざるを得ず、そのためデザインに限界が生じます。
しかしキリムのデザインには、そうした制限はありません。

イランの平織の敷物を見ると、その優れた技法と多様性に気づくでしょう。
それらはイラン独自の伝統と文化の象徴であり、更に注目されるべきです。
キリムとジャジムは、様々な場所を装飾したり使用したりするために使用される、魅力的な手工芸品です。
ここでは、この二つの違いを紹介しました。
キリムとジャジムの違いを知ることで、いままで以上に楽しい体験を味わうことができるかもしれません。

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