和家具とペルシャ絨毯の組み合わせ
[第 話]
日本の骨董市でお気に入りの品を探すことが外国人観光客の間でブームになっているそうです。
明治や大正期に製作された道具や染物を、日本人なら考えもしないアイデアで現代のモダンなインテリアに採り入れる外国人たち。
それが違和感なく溶け込んでいるのを見るたびに、彼らのセンスに脱帽させられてしまいます。
ボヘミアンスタイルの流行とともに、異文化の素材を組み合わせたインテリアも珍しくなくなってきました。
私たち日本人には馴染みの深い和家具たちですが、モダンでありながらもどこか懐かしい……。
そんなインテリアを作り出す一つの方法として、和家具とペルシャ絨毯の組み合わせを提案したいと思います。
和家具は日本の伝統的な家具であり、ペルシャ絨毯はイランの伝統的な敷物です。
和家具とペルシャ絨毯はアジアの極東と極西という真反対の地域の伝統的なアイテムですが、うまく組み合わせることでユニークで魅力的なインテリアを演出することができます。
まず、和家具として代表的なものには座卓や文机、箪笥や水屋などがあります。
これらの和家具はシンプルなデザインと木の温もりを生かした落ち着いた色が特徴です。
一方、ペルシャ絨毯は豪華かつ繊細なデザインと、華やかな色が特徴です。
座卓や文机の下にペルシャ絨毯を敷くことにより、あるいは箪笥や水屋の前にペルシャ絨毯を置くことにより、シンプルさと豪華さ、落ち着きと華やかさの融合が生まれ、空間全体に不思議な調和をもたらします。
また、和家具とペルシャ絨毯はどちらも手作りの製品であり、ベテランの職人が丹精を込めて作りあげた人の温もりを感じさせるものです。
和家具は木を主な素材として使用しており、ペルシャ絨毯も天然の羊毛や綿を主な素材として使用しています。
これらの自然素材が組み合わさることで、空間にナチュラルな雰囲気を与えることができます。
部屋のアクセントとなる場所に和家具とペルシャ絨毯を配置することで、空間に奥行きやメリハリが生まれます。
さらにペルシャ絨毯は床に敷くだけでなく、壁掛けやテーブルランナーとしても使うことができます。
和家具とペルシャ絨毯を組み合わせるときは、絨毯の使い方や配置を工夫することで、より一層空間をユニークなものとすることがで出来るでしょう。
デザインや色合い、サイズなどを考慮してバランスよく配置することが大切です。
お互いの特徴を生かしながら、新しく自由な発想でインテリアを楽しんでください。
和家具とペルシャ絨毯を組み合わせる際には伊万里の磁器や竹細工の籠や照明など、和の工芸品をインテリアアクセサリーとして活用するとより効果が高まります。
たとえば伊万里の磁器は、緻密な色絵や染付の美しさが特徴であり、繊細さと豪華さが共存しています。
また、竹細工は竹を素材として使用しており、自然の風合いや素材感が魅力です。
これらはペルシャ絨毯と共通する特徴を有しているため、ペルシャ絨毯のある部屋に置くことで、異国情緒に溢れた空間を違和感なく創り出すことができます。
あるいはイランの工芸品を置くのもよいかもしれません。
イランにはミーナカーリー(エナメル 細工)やハタムカーリー(寄木細工)、ガラムザニー(銅細工)、ミニアチュール(細密画)など、世界的にも有名な工芸品があります。
それらの中には、日本の工芸品とも相性がよいものがたくさんあり、和家具とペルシャ絨毯が置かれた部屋にイランの工芸品を取り入れるのは、美の相乗効果を高めることになるでしょう。
胡椒(こしょう)、胡麻(ごま)、胡桃(くるみ)、胡瓜(胡瓜)、胡座(あぐら)など、「胡」という漢字は西域のペルシャ系民族を指していました。
また柘榴(ざくろ)の語源はイラン南西部のザグロス山脈に由来するとする説もあります。
風呂敷などに使われる唐草文様も、イスラム美術のアラベスク文様が中国を経由して、わが国に伝わったといわれています。
遥か昔から日本とイランは繋がっていたのです。
そう考えれば、和家具とペルシャ絨毯の組み合わせは、むしろ自然なものかもしれません。