家にあるペルシャ絨毯を高く売るコツ?
[第 話]
最近、ペルシャ絨毯の買取業者が「ペルシャ絨毯を高く売るコツ」などとした記事をホームページ上に掲載しているようですが……。
結論からいえば、そんなものはありません。
工房のサインの画像すべてを上下逆に掲載しているところもあったりで、ペルシャ絨毯のプロによる記事でないことは明らかでしょう。
染料の種類やジュフティ・ノットに言及している業者など皆無です。
そうした半素人が書いた記事を読んで「わが家にあるペルシャ絨毯はよいもののようだから高く売れるだろう」と勢い勇んで買取店舗に乗り込んでみたものの、査定額は予想を遥かに下回るものにしかならない。
「そんな筈はない!」と同じような記事を読み漁っては別の店舗に持ち込んでみるが、結果は似たり寄ったりで、まったくの徒労に終わってしまう……こうした話をよく耳にします。
要は高く売るコツなどとした記事は、自店に品物を持ち込ませるための「撒き餌」に過ぎない訳です。
業者は買取ったペルシャ絨毯をネットオークションなどで機械的に売り捌くのですから、高く買取ってくれる筈がありません。
何らの保証もなく、(ペルシャ絨毯に関して言えば)駄物や偽物が大半のネットオークションの落札価格は一般的な市場価格よりもかなり低いのは当然です。
そんな場所で売る商品をまともに仕入れていたら、利益などなくなってしまうばかりか下手をすると赤字になってしまいます。
テレビのお宝鑑定番組で「鑑定額は◯◯◯万円です!」などとやっているのを真に受けて、そうした値段で売ろうとしても、ほぼ100パーセント無理でしょう。
◯◯◯万円というのは国内の小売価値の相場(しかも新品の)であって、買取業者の提示する買取価格は小売の相場の1/10以下というのが普通だからです。
絨毯の状態によっては、これが更に低くなります。
テレビ番組はエンターテイメント、つまり完全にショーの世界なのです。
そして買取業者の多くはネットオークションが商売の場。
自身が思うほど高額で売れることなどないと思った方が賢明です。