ギャッベ・ブームの裏側にあるもの

ギャッベ・ブームの裏側にあるもの

ギャッベ・ブームの裏側にあるもの

[第 話]

わが国でモダン・ギャッベを取扱う絨毯専門店や家具店が多い理由についてお尋ねいただくことがよくあります。
最近の(モダン)ギャッベ・ブームの背景には、販売店の増加により人目に触れる機会が増えたことがあるのは間違いないでしょう。
さて、それではなぜギャッベを取扱う店が多いのか?
その理由の第一は、正統なペルシャ絨毯に比べると仕入価格が圧倒的に安いから。
つまり、小資本でも始めることができるからです。
一般にペルシャ絨毯の仕入には膨大な資金が必要となりますが、ギャッベなら遥かに低い資金で済ませることができるのです。

理由の第二は、ペルシャ絨毯についての難解な専門知識が必要ないから。
「遊牧民」「草木染」「一点物」……この三つの魔法の言葉さえ口にすれば、モダン・ギャッベはアルバイトの女の子にでも販売できると言われます。
長い年月をかけて専門知識を身につけたり鑑識眼を養ったりする必要がない訳ですから、気楽に取扱うことができます。
プロの販売員を雇う必要もなく、アルバイトを使えばよいのですから人件費も削減できるのです。

ギャッベを巡っての裁判が行われたことがあります。
ゾランバリ社と総代理店契約を結んでいた神戸のA社が、同じゾランバリ社のギャッベを並行輸入していた茨城のB社に対し、商標使用と販売差止を求め、大阪地方裁判所に訴えを起こしました。
A社とB社の価格があまりにも違っていたため、販売差止とホームページに掲載されているゾランバリ・ギャッベに関わるすべての記事を削除することを求めたようです。
第一審ではA社の請求は棄却され、それを不服とした同社は控訴するも、大阪高等裁判所は控訴棄却の判決を下しました。 当然といえば当然で、それが認められればヤナセやシュテルン以外はメルセデスベンツの名を語ることも販売することもできなくなってしまいます。
A社の思惑は「自分以外は儲けさせない」ということのようですが、つまり、それだけ美味しい商売だったのでしょう。
何せ仕入価格の10倍以上で売っていたようですから。

最後にウィキペディアの「ギャッベ」についての記事がなかなかよく書けているので一部を紹介します。
「日本においてゾランバリの名が知られるようになったが、販売店によるブランド化戦略による所が大きく、他国での人気度・知名度はそれほど高くは無い。また、伝統製法によるギャッベ絨毯の作り方自体にも大きな違いは無い。ゾランバリのギャッベ絨毯の裏にスタンプがあるものがあるが、日本の代理店が独自に流通させているもので、それ以外のゾランバリのギャッベにはスタンプは押されていない」(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ギャッベ)。
ここに書かれていることはギャッベだけでなく、日本でだけ有名なクムのいくつかの工房についても同じです。
相場の何倍もの金額を支払っている人が日本にはいかに多いかということです。

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