歴史的ペルシャ絨毯の数々「アスタン・クッズ・ラザビ絨毯博物館」

歴史的ペルシャ絨毯の数々「アスタン・クッズ・ラザビ絨毯博物館」

歴史的ペルシャ絨毯の数々「アスタン・クッズ・ラザビ絨毯博物館」

[第 話]

アスタン・クッズ・ラザビ絨毯博物館はイスラム教シーア派の最大の聖地であるマシャドのイマーム・レザー廟を擁するイマーム・レザーの聖域内にあります。
イマーム・レザー廟はイスラム教シーア派(十二イマーム派)第8代イマーム、レザーを祀った廟です。
イマーム・レザーは765年に生まれ、799年にイマームに即位しました。
アッバス朝のカリフ、マームーンのシーア派宥和政策でメディナからメルブに招かれ,817年にカリフの継承者に任命されますが、アッバス家側に強く反対され、翌年トゥース近郊で急死しました。
シーア派は彼の死をマームーンに毒殺されたものと信じています。

イマーム・レザーは、マシャド(殉教地の意)に葬られ、聖廟を中心に宗教都市マシュハドが形成されました。
現在の壮大な聖廟の基礎は、シーア派を国教に定めたサファビー朝時代に築かれたものです。
青いタイルが壁一面に貼られ、アラビア文字や装飾がとても美しい場所となっており、イランだけでなく世界中から毎年、何百万人もが巡礼に訪れます。

アスタン・クッズ・ラザビ博物館の建設は1947年に始まり、今日に至るまで様々な部分が増築されています。
中央博物館には、あらゆる種類の歴史的に貴重な品々が収蔵されていますが、これらの収蔵品のほとんどは聖廟へ奉納されたものです。
絨毯博物館は、アスタン・クッズ・ラザビ博物館を構成する博物館の中の一つです。
以下では、この絨毯博物館について解説してゆきます。

アスタン・クッズ・ラザビ絨毯博物館はイラン絨毯博物館、アゼルバイジャン絨毯博物館、トルクメン絨毯博物館に並ぶ、中東で最大規模の絨毯博物館です。

この博物館は、文化施設の建設、奉納品と過去の遺産の保存と保護、そしての巡礼者と地域住民の知識向上を目指す、アスタン・クッズ・ラザビ20年計画を実現するためのものです。
4階建てで2340平米の研修室と6647平方米の展示ホールが建設され、2011年に開館しました。

アスタン・クッズ博物館での絨毯の展示は、1324年の最初のアスタン・クッズ博物館の正式開館に遡ります。
博物館のホールの1つでアスタン・クッズ博物館が正式にオープンし、この博物館の最も精巧なカーペットのうち3枚が展示されました。

アスタン・クッズ中央博物館での絨毯の展示は1377年まで続き、そのとき2階建ての建物がアスタン・クッズ初の絨毯の宝物として絨毯の展示に当てられました。

アスタン・クッズ博物館への絨毯の寄贈が増加したため、アスタン・クッズ当局は2013年に現在の場所に3階の展示スペースと半階の保管庫とワークショップ・スペースを備えた新しく設備の整った博物館の建物をオープンしました。

現在、アスタン・クッズ博物館には632枚の絨毯があり、そのうち102枚が展示されており、530枚は湿度、温度、保管条件の点で理想的で管理された環境を持つ収蔵庫に保管されています。

2011年に聖廟に近い現在の場所に移されましたが、これは博物館の構成の変更と作品数の増加に伴うもので、現在は3つのフロアからなる大きな建物になっています。

1階には門幕絨毯(宗教的な場所、宮殿、家などの入り口にカーテンとして吊るされるタイプの絨毯)、イラン東部と中部の絨毯、国家最高指導者から寄贈された絨毯、2階はイラン西部と部族の絨毯、3階にはサファヴィー朝時代の絨毯3枚とマシャド産の大型絨毯4枚が展示されています。
これらの展示品はイマーム・レザー廟へ寄進された、いわゆる「シュライン・コレクション」を基礎としたものです。
地下1階は保管室、4階は研修室になっています。

この博物館に保管されている絨毯のほとんどはカジャール朝期の古い作品で、展示品は細心の注意をもって管理されています。
すべての作品には生地の場所、シリアル番号、カーペットの寸法、損傷、修復履歴、高品質の写真が専用のIDカードが付いており、この情報は研究部門で入手できます。

館内の照明は紫外線を含まない標準照明を使用。火災警報器・自動消火設備が完備されており、デジタルで温度・湿度を測定しています。
防虫剤の散布は年2回行われており、これまでのところ盗難やカーペットへの害虫の侵入は発生していないそうです。
展示方法は最新の方法で行われ、展示構造は造船業界で使用される高品質の鋼材で作られています。

特筆すべき展示品としては、以下の作品があります。

  • サファヴィー朝時代のシルク絨毯
  • ムガール朝期のインド絨毯
  • アリー・ケルマニ作の門幕絨毯(1941年から43年にかけて製作)
  • イマーム・レザー廟のピクチャー絨毯
  • シーア派の聖地であるハフト・シャールのピクチャー絨毯
  • シーア派7つの聖地を織り出した絨毯
  • アルハラーム・モスクのピクチャー絨毯
  • ムハンマド・ラスワルーラのピクチャー絨毯
  • ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世のピクチャー絨毯

博物館は構造は空気の流れを考慮して多孔質の形状に設計されており、すべての絨毯は無色の生地で支えられ、マジックテープが生地の裏に縫い付けられています。 これは縦に並べた絨毯が長期的に縦糸と横糸が伸びたり崩れたりしないように、絨毯の重さをを分割する必要からです。
展示品は定期的に入れ替えられますが、博物館を代表する作品については常設展示されています。

絨毯博物館はカウサルの中庭にあり、午前8時から午後12時30分まで公開されています。
入口でセキュリティチェックがあり、カメラや自撮り棒、ペットボトルなどは持ち込み禁止。
撮影はスマートフォンでのみ可能です。

ちなみに中央博物館には17の専門的な宝物があり、以前、廟で使用されていた品物や装飾品、切手やコイン、絵画、武器、美術品、食器、時計、コーランなどが展示されています。

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