ペルシャ絨毯をどこで、どうやって購入するか
[第 話]
インターネットが普及する前は、ペルシャ絨毯は百貨店や専門店で購入するか、究極のお土産として海外で購入するしかありませんでした。
しかし、いまでは至るところで見つかります。
家具店やインテリアショップ、大型ディスカウントストア、ネットオークションやフリマサイト等々……。
しかし、中にはペルシャ絨毯とは名ばかりの低品質なものや、レーヨン製の機械織絨毯にシルクのエッジとフリンジを手縫いしたもの、インドや中国で作られたコピー品なども紛れているのが現実です。
一般消費者にはどれも高品質に見えるかもしれませんが、このような粗悪品はすぐにボロが出てきます。
それでは、どうすれば最悪な買物を避けることができるのでしょうか?
よりよいペルシャ絨毯を購入したいのなら、専門知識が豊富な専門店を見つけることです。
専門知識ぐ豊富であるかどうかはホームページを見れば一目瞭然。
見てくれだけで中身がない店(知識がないから書きようがない)や、価格表記がない店(表記できない理由がある)、大幅値引を謳っている店(すべてインチキ)は絶対に避けてください。
よいペルシャ絨毯とは、高品質の素材、緻密な織り、優れた色彩、バランスのとれたデザイン、そして傷みのない状態を備えている必要があります。
最良の選択は、ウール、シルクなど、100%天然素材を使用した絨毯を購入することです。
ペルシャ絨毯には天然素材のみが使用されています。
さらに初めてペルシャ絨毯を購入するのであれば、柔らかさ、光沢を備えた上質なウール絨毯がお勧めです。
良質なウールのペルシャ絨毯は、数年ではなく何十年にもわたって長持ちし、シルクとは違って汚れにも強いからです。
レーヨン、ビスコース、その他の化学繊維はいかなる種類であっても避けてください。
これらを使用した絨毯はは機械で織られているだけでなく、天然素材ほど耐久性がありません。
次は染料についてです。
天然染料が使用されているものが人気ですが、天然染料だからよいという訳ではなく、化学染料だから悪いという訳ではありません。
両者によい面と悪い面があります。
どちらも強い日光の下では色褪せする可能性がありますし、どちらもシッカリと定着していなければ濡れたら色が滲みます。
それでは、高品質の染料を見分けるにはどうすればよいでしょうか?
あくまで一般論ですが、染料は質が高いほど色が曖昧になります。
鮮やかすぎる色や蛍光色のように目に飛び込んでくる色の絨毯は、質の悪い染料を使用している可能性があります。
どの絨毯にも「明るく見える向きと暗く見える向きぐあるので、両端まで歩き回って、あらゆる角度から色をチェックしてください。
部族が製作するペルシャ絨毯は、織手が意匠図を使用することがほとんどなく、完璧にできあがることはありません。
また、織手は気分によって色や文様を変更してみたり、自身のインスピレーションに基づいてデザインを作成したりすることがあります。
こうした絨毯は実にユニークで、サイズ、形、デザインが正確でないことも多いのですが、これを許容できるかどうかは個人の判断です。
通常は部族の絨毯ならではの面白さとして歓迎されますが、傷みの原因になるような欠陥がないことだけはシッカリと確認してください。
都市部の工房で製作された新しいペルシャ絨毯ではまさにその逆で、織り手は意匠図と染色した毛糸を与えられ、絨毯作家と契約します。
これらの絨毯は一般的によく作られており、完璧に近いように見えます。
それでもすべてが手作業ゆえ、100%完璧になることはありません。
どちらのタイプも高品質でさえあれば、あとは個人的な好みと、家に合うかどうかの問題になります。
これはペルシャ絨毯以外の工芸品や美術品についてもいえることですが、時代の流れとともに製作技術や染料に関する知識が失われゆくにつれ、高品質の古いものの価値が高まります。
当然のことながら、古くて希少なものほど価値が高くなるのです。
しかし、古い絨毯だからといって、よいものであるとは限りません。
100年前に織手が粗末な素材、低質な染料、貧弱なデザインを使用していた場合、古いというだけでよい絨毯とは言えないのです。
使い古され、色あせた見窄らしい絨毯は、ただそれだけのものであることを忘れないでください。
それは、長きにわたって持ち続ける、光沢のあるウールと鮮やかな色を備えた輝く「糸の宝石」ではありません。
新しいペルシャ絨毯は、古いペルシャ絨毯のような個性や味わいを欠いている場合がありますが、一般に優れた素材や染料が使用されています。
そのため見窄らしい、あるいは低品質のヴィンテージ絨毯よりも購入しやすく長持ちします。
気に入るものが見つかるまでは、ペルシャ絨毯を買わないでください。
ペルシャ絨毯には質的なばらつきがあることを念頭に置き、慎重に検討することをお勧めします。
様々な場所で商品を見るようにしてください。
色がクリアでバランスが取れているかどうかを見極めることが大事です。
また、古いペルシャ絨毯を購入する場合は全体的な状態が良好であることを確認するようにしましょう。
気に入った品で価格が適正であれば、思い切って購入してください。
ペルシャ絨毯を購入するときは思い切ることも大切です。
結局のところ、よいペルシャ絨毯は長く使えるものなので、妥協するのではなく、毎日見ていて、より愛着が湧くものを購入するのが正解です。
弊社の顧客の多くは、前回とは別のスペースに別の絨毯を購入するために戻ってきてくださるため、生涯の友になります。
以前の購入にいくら支払ったかを尋ねると、90% の方は覚えておられませんが、熱心に購入した絨毯への愛着を語ってくれます。
彼らが購入したペルシャ絨毯が、何年にもわたって彼らに与えた喜び想像してみてください。
高品質のペルシャ絨毯は高額になることが多いため、大きな作品だけでなく、美しいアンティークの作品に100万円(あるいはそれ以上!)を費やす人も珍しくありません。
予算は人それぞれですが、アドバイスしたいことは「一度しか買えないので、シッカリと買う」ということです。
「とりあえず」はお金を無駄にする可能性があります。
少ない予算で、到底その値段では購入ことができないペルシャ絨毯をを買おうとして、その結果、いつまでたってもに手に入らない人をよく見かけます。
本物のセーラフィアンのドザールを100万円以下で探しているというような方がたまにいらっしゃいますが、そんなものはまず永久に見つかることはありません。
また偽物を掴まされる典型が、そのような人たちであることを覚えておいてください。
同様にペルシャ絨毯を探し始める前に、図鑑や Instagramなどで見た絨毯に心を奪われすぎないでください。
実際に、それらで見つけた絨毯の画像を見せてくれるお客様はたくさんいます。
図鑑やウェブサイトなどから画像を入手するのは自分好みのペルシャ絨毯を探す出発点としては役立ちますが、有名コレクターのコレクションや博物館に収蔵されている絨毯など、決して見つからないものに囚われるがあまり、購入の機会を逸しないことが大切です。
探し始める前からターゲットを絞りすぎてはいけません。
それを貫き通せば、おそらく完全な失恋に終わるでしょう。
綾瀬はるかと結婚したいと思う男性はたくさんいますが、それが実現できる者は限りなく0に近いのです。
無い物ねだりをして、せっかくの機会を棒に振るのは避けるべきです。
ペルシャ絨毯の市場には様々な商品が溢れており、選択肢は予測不能です。
そのため、流れに身を任せた末に恋に落ち、当初の予想とはまったく違う、しかし同じほど美しい作品に出会うこともあります。
30年の経験を経て、私はいつも「値段で判断するのではなく、内容で判断してください」と言っています。
美しいペルシャ絨毯は製作するのに何か月も、場合によっては何年もかかります。
そのため、ペルシャ絨毯を作るのに費やした時間と労力を考える人は、最も賢明な判断を下す人です。
一般的に、少し高くても、質の高いものを購入する方が絶対によいです。
信じられないほど安すぎるペルシャ絨毯にも注意してください。
機械織の絨毯や有名工房のサインが後付けされた偽物である可能性があります。
一点物のペルシャ絨毯はすべて個別に価格が設定され、品質、使用年数、状態、染料、デザイン、希少性など、あらゆる面が考慮されます。
一方、管理された環境下で大量生産的に手織される新しいペルシャ絨毯は、品質にほとんど差がないため、平米に応じて価格が設定されます。
それを理解できれば、自分が支払う価格についても理解できることでしょう。
究極のアドバイスは、予算内で購入できる最高のものを買うということです。
大きなものを買う余裕がない場合は、小さくて高品質の手作りの敷物を購入してください。
高品質の手作りのペルシャ絨毯は、耐久性があり傷みにくいため、交通量の多い場所に最適です。
流行には関係なく、いつまでも宝物として、あるいは思い出として、愛おしいものになるでしょう。
30~50年後も見栄えがよければ、費やした金額は十分に元が取れます。
信頼できる、経営がしっかりしている店を選んでください。
そのような店は、無数のスタイルやデザインについて一から詳しく「正確に」説明してくれます。
各絨毯の長所と短所を教えてもらい、ゆっくりと時間をかけてください。
よい店は、長年にわたってお客様をサポートします。
直接でもオンラインでも構いません。
信頼できる専門店から購入すると、価格以上のものが得られます。