セネ産のペルシャ絨毯について

セネ産のペルシャ絨毯について

セネ産のペルシャ絨毯について

[第 話]

セネ産のペルシャ絨毯はビジャー産と並び、クルディスタン州で製作される二大絨毯の一つです。
強度が高いだけでなく、独特の美しさと優雅さを備えたセネ絨毯は、ペルシャ絨毯を愛する多くの人から高い評価を受けています。

セネはクルディスタン州の州都であるサナンダジの旧称。
発音としては「サナ」の方が近いです。
セネ絨毯は、実際にはサナンダジ及び周辺の村々で織られた絨毯の総称です。
クルディスタン州は、恵まれた気候条件のにより、イランの主要な家畜飼育地域の一つとなっています。
容易にウールが入手できることから、絨毯やキリムの製作が行われるようになりました。
クルディスタン州における絨毯製作の歴史は約400年前に遡りますが、この州の絨毯産業が拡大したのは19世紀後半になってからのことです。

クルディスタン州で産出するペルシャ絨毯は主に 3つのカテゴリーに分類されます。
セネ、ビジャー、クルド(部族)です。
ビジャー絨毯については既に詳しく解説しましたが、3つの絨毯に共通する特徴の1つは、高い強度とやや粗い織りです。
かつて、ビジャー絨毯は「鉄の絨毯」として知られており、固くて厚みがあるため、折り畳むことさえできませんでした。
しかし、現代のビジャー絨毯はそこまで固くはなく、見た目もエレガントです。
一方、クルドの部族絨毯はこの州の町の絨毯に比べて比べると織りが粗く、荒々しさが感じられます。
デザインはすべて幾何学文様です。

さて、ここから本題に入ります。
ペルシャ絨毯を織りを始めるための最初の工程は織機を準備することです。
織機には水平型織機と竪型織機の2つのタイプがありますが、水平型織機は部族民が使用します。
都市部で織られる他の絨毯と同様に、セネ絨毯は縦型の固定式織機を使用して製作されます。

ペルシャ絨毯に使用される素材はウール、シルク木綿の3つに分けられますが、前述したように、クルディスタンの絨毯には通常、ウールが使用されます。
セネ絨毯についても、パイルはもちろんウールです。

クルディスタン州は山が多いため、染料の素となる植物の生育に適した地域の一つとされており、この地域の絨毯のほとんどは天然染料を使って染色されていました。
しかし現在では、そのほとんどが化学染料に取って代わられています。
それはセネ絨毯も同様で、サナンダジ及びその周辺の多くの絨毯工房では化学染料が使用されています。
セネ絨毯の色はガーリック色、紺色、青漆色のみでしたが、最近ではクリーム色、水色、薄漆色などの比較的柔らかな色も加わり、バリエーションが増えてきました。

ノット数は7センチメートルあたりのノット数をラジで表します。
ラジ数が多いほど品質は高くなり、デザインも優雅になります。
セネ絨毯に関しては、過去に使用されていたラジ数は15ラジから25ラジでしたが、やがてラジ数は増加し、いまではその多くが35ラジ前後です。
ただし、その背景にはセネ絨毯の縦糸の重なり方が変わったことがあります。
本来、セネ絨毯はシングル・ノットで製作されていましたが、イラン・イラク戦争中にイラクとの国境に近いサナンダジの人々は内陸部のビジャー周辺で避難生活を送っていたため、ビジャー絨毯に多いダブル・ノットに変化したと言われています。

ここでセネ絨毯に関する、よくある間違いについて触れておきます。
それは織りに使用されるノットの種類のことです。
ペルシャ絨毯のノットには、トルコ結び(左右対称結び)とペルシャ結び(左右非対称結び)の2つがあります。
セネ絨毯にはトルコ結びが用いられるのですが、なぜかペルシャ結びは「セネ結び」とも呼ばれているのです。
これにより、セネ絨毯がペルシャ結びを用いて製作されると勘違いしている人が多くいます。
ペルシャ結びがセネ結びと呼ばれる理由については定かではありませんが、セネ絨毯にペルシャ結びが使われることは、ほとんどありません。

クルディスタン州ではペルシャ絨毯はポシュティから9平米までの様々なサイズで製作されています。
セネ絨毯には小さなサイズのものも多いので、壁掛けとして使用することも可能です。
セネ絨毯に用いられるデザインは、クルディスタン州の他の産地の絨毯よりも豊富です。
代表的なものとしては、セ・トランジ、ハシュト・ゴル、ゴル・ファランギ、ミルザ・アリー、マヒ・ダーラムなどがあります。

この質問に答えるには、さまざまな条件に依存すると言わざるを得ません。しかし一般に、かつてはこの地域でのカーペットの人気と高い売上の鍵の1つは天然繊維と高品質の質感の使用であったと言わなければなりませんが、残念ながら近年では不自然な繊維が使用されています。この地域では繊維が拡大しています。

クルディスタン州外から運ばれたウールや化学染料の使用、構造の変化により、セネ絨毯は本来のスタイルから離れてしまいました。
その一方で、昔ながらのスタイルを守り続ける工房もあり、そこでは地元産のウールを天然染料を用いて染色し、縦糸にシルクを使用した緻密な織りの絨毯が製作されています。
これはセネ絨毯に限ったことではありませんが、ペルシャ絨毯を購入する際には知識豊富な専門家に相談することをお勧めします。

お問い合わせ・来店予約

お問合せ・来店予約は
お電話もしくはメールフォームにてお受けしています。
お気軽にご連絡ください。