ペルシャ絨毯をタペストリーにする

ペルシャ絨毯をタペストリーにする

ペルシャ絨毯をタペストリーにする

[第 話]

ペルシャ絨毯をタペストリー(壁掛)にすることは、お部屋にユニークで装飾的なタッチを加えるのに素晴らしい手段であり、実用的なメリットも多くあります。
壁に掛けられたペルシャ絨毯は絵画と同じアート作品となり、床に敷くよりも、そのデザインをより際立たせます。
壁に絨毯を掛けることで生まれる効果は、視覚面におけるものだけでなく、断熱や防音としての機能面においても期待できます。
これは昔から行われてきたことで、城の壁に掛けられたゴブランや、遊牧民のテントのキリムなどと同じものです。
ペルシャ絨毯をタペストリーにすることは、絨毯を展示し、空間に華やかに演出する有力な方法の一つであるといえるでしょう。

元来、敷物として製作されてきたペルシャ絨毯は床を美しく飾るためだけのものだと思われがちです。
ペルシャ絨毯をタペストリーにするメリットは冒頭で述べたとおりですが、その流行に囚われない美しさは、とりわけ絵画の代わりにする際に明確になります。
最近は絵画のトレンドが急速に変化しています。
トレンドに合わせて次々と絵画を購入することは、大きな出費を伴う骨の折れる作業であることを忘れないでください。
また、古いペルシャ絨毯を保存したい場合や、思い出に残る価値がある場合、またはその両方があるかもしれません。
最も便利な方法は、ペルシャ絨毯を壁に掛けることです。こうすれば絨毯が踏まれることはなくなり、傷む心配がありません。

それでは、ペルシャ絨毯をタペストリーにするにはどうしたらよいのでしょうか?
ほぼすべてのペルシャ絨毯をタペストリーにすることができますが、出来得るなら目にする人の興味をそそるものを選択するのがベストです。
緻密なパターンは、その緻密さの全体像を見ることができるため、とても効果的です。
同様に、抽象的で絵画的なデザインの絨毯は絵画やアート作品に似ているため、敷物にするよりも目立つかもしれません。
より具体的には、6mm以下の短いパイルを持つペルシャ絨毯、またはキリムなどのパイルがまったくないものを選択すると壁に負担がかかりませんし、取り扱いも楽です。
一般に絨毯は大きくなればなるほど、重くなりますから、それを考慮してください。
それでは、ペルシャ絨毯をタペストリーとして使用するプロセスについて解説します。

1. ペルシャ絨毯と壁の寸法を慎重に測る
ペルシャ絨毯をタペストリーにすることを検討する際に最初にすべきことは、使用予定の絨毯のサイズを測ることです。
その後、絨毯のサイズを壁の面積と比較します。
一般的なルールとして、絨毯はは壁の縁から少し離れた場所に掛けます。
また、絨毯の上のスペースは、常に下のスペースよりも大きくする必要があります。

2. 部屋の全体的な雰囲気を考慮する
家具は絨毯に溶け込んだり、反発したりするのではなく、互いに補完し合う必要があります。
つまり、絨毯を含むあらゆる家具の間には、一定の関連性が必要です。
家具の色、形、スタイルや光の当たり具合、陰影などを考慮し、部屋の全体的な雰囲気が纏るようにしてください。
絨毯を壁に掛ける前に、絨毯を目的の場所 (またはその近く)に一時的に置いてみて、どのような感じになるかを確認することをお勧めします。
絨毯が家具と調和している場合に限り、部屋は美しく見えます。

3. 何も飾られていない壁を選ぶ
壁にペルシャ絨毯を掛けるとインテリアが完成します。
しかし、その前に他に何が壁に掛かっているものとの調和を考慮することが必要です。
特に大きくてカラフルな絨毯を掛ける場合は、他に何も飾られていない壁を選ぶのが原則です。
同じ壁に写真や絵画が目を引くために競い合う場合、絨毯を掛けるとすぐに喧嘩してしまいます。
そうなる場合は絨毯を掛けないでください。
通常は何もない壁に絨毯を掛けるのが最良です。

4. タペストリーに加工する
ペルシャ絨毯をタペストリーにする際は、釘や両面テープの使用は絶対に避けてください。
これらはパイルを傷めてしまう可能性があります。
ペルシャ絨毯をタペストリーに加工する方法はいくつかありますが、絨毯を壁から少し浮かせるか、壁にぴったりと付けるかにより、使用する方法が変わります。
最も安全な方法としては次の二つがあります。
一つはペルシャ絨毯の裏にアルミ板を添え、それを布または合皮のベルトで覆い、丸環もしくはS環を取り付ける方法です。
この方法では壁に絨毯をピッタリと吊るすことができます。
絨毯の大きさによっては絨毯の下部が弛まないよう、下にもアルミ板を取り付けることもあります。
二つ目は絨毯の裏に布の袋を縫い付け、それに棒を差し込む方法です。
この方法は少し手間がかかりますが、重い絨毯でも壁に掛けられる安全な方法です。
絨毯の重みが均等に分散されるため、絨毯が破れることはありません。
大きめの棒を使うとオシャレに見えます。
とはいえ、絨毯を細めの棒に掛けるのも、それはそれでオシャレです。
ただし、棒に生の木材を使用するのは避けてください。
時間が経つと絨毯を傷めることがあります。

これらの加工は自分でもできますが、プロの職人に依頼することをお勧めします。
もちろん、お金はかかりますが、その費用を惜しんだばかりに高価なペルシャ絨毯を傷めてしまったのでは元も子もありません。
素人とプロの職人では仕上がりに大きな差も出てきます。
クリーニングと同じで何万円金かの加工代を惜しんだばかりに数十万円のペルシャ絨毯を傷めてしてしまうのはよくあることです。

ペルシャ絨毯をタペストリーにする際は、直射日光が当たる壁は避けてください。
直射日光にさらされると、時間が経つにつれて絨毯が褪色してしまいます。
また、暖房器具の近くに掛けないでください。
繊維に致命的なダメージを与えてしまう可能性があります。
壁に掛けた後は、数か月ごとに掃除機のアタッチメントを使用して掃除することをお勧めします。
壁には常に埃が溜まります。

他の家具と同様に、ペルシャ絨毯は家を居心地のよいものにするのに重要なアイテムです。
しかし、ペルシャ絨毯を敷くのに最適な場所を見つけるのが難しい場合があります。
ソファやテーブルの下に押し込んで忘れ去られたままにしたくないような素晴らしい絨毯の場合は特に当て嵌ります。
しかし、ペルシャ絨毯を丸めて納戸に仕舞う前に、少し時間を取って別に活かせる方法を考えてみてください。
ペルシャ絨毯は工芸品です。
床に敷くだけに留める必要はありません。
タペストリーにすれば、美しいペルシャ絨毯を新たに楽しむことができます。

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