ペルシャ絨毯に使用されるシルクの生産
[第 話]
イラン国内の22の州で養蚕業が営まれています。
中でもギラーン州は養蚕の中心地で、全体の85パーセントを占めており、第2位がラザビ・ホラサン州です。
かつてイランの主要産業であった養蚕は、経済不況による価格の下落、シルク市場の不安定化などの理由により、80年代初頭から徐々に色を失いつつあります。
しかし、ここ数年、ラザビ・ホラサン州では、生産者の増加と産業の成長が見られました。
養蚕業と並んで、シルク製品は市場性の高い製品みなされており、絹糸の生産とともに、絨毯やタペストリーといった伝統的かつ芸術的な工芸品の生産が盛んです。
実際、シルクの生産は最も収益性の高い分野であると言えます。
黒くて小さな卵が貴重な蚕繭に変わるまでには、僅か45日しかかかりません。
農家にとっては園芸と並ぶ副業として、何千もの家庭を豊かにしているのです。
地域を選ばないこと、狭い場所で蚕を育てられること、作業のしやすさ、投資額が少なくて済むこと、短期間で収益があがること、製品に付加価値が生まれることは、養蚕の大きなメリットです。
蚕卵1箱で約35kgの繭が生産され、加工後は繭3kgごとに1kgの絹糸が得られます。
養蚕は毎年4月上旬から始まり、約45日から2か月程度の期間を経て、養蚕農家は新しい繭を生産することができます。
45日で蚕繭を得られるのは簡単そうに思えますが、絹糸を得るまでには多くの困難を乗り越えなければなりません。
これに関して、生産者たちは銀行融資の金利が高いことに不満を抱き、低所得者層である農家に18%の金利を支払うのは不可能であると主張しています。
また養蚕農家の多くが、中国の絹糸の密輸がイランの養蚕業に損害をもたらしていると考えています。
養蚕業において最も重要なことは、蚕の餌となる桑の葉を用意することです。
彼らは「養蚕農家ごとに30トンの桑の葉を配給するのは簡単なことではなく、まず苗床の状態の状態で生産者に配給することを考えるべきだ」と言います。
メヘル通信によると、農業開発省ラザビ・ホラサン州畜産開発局副局長のマジッド・ジャファリ氏は、昨年は同州で110トンの繭が生産・販売され、今年は500トンの繭が生産される見込みであることに言及し、「今年はラザヴィ・ホラサン州の養蚕農家に1万2129箱の蚕卵が配布された。
この量は昨年の2倍で、ラザヴィ・ホラサン州は全国の養蚕農家への蚕卵配布量の27%を占めている」と述べました。
各卵箱には30~35平米の飼育スペースが必要ですが、ラザビ・ホラサン州には繭と絹糸の生産分野で約2000の養蚕施設があります。
蚕卵2箱ごとに4人の雇用が創出され、これに基づいて州内で約500人の臨時雇用が創出されたといいます。
蚕の餌として桑の葉を提供する問題に関して、ジャファリ氏はまた、「今年、国の養蚕開発センターは希望者に3万本の桑の苗木を配布した。残りは、州から配布される」と語りました。
ラザビ・ホラサン州の養蚕は村民の経済に多大な貢献をしており、市場への絹糸の密輸を減らすのに効果的でしょう。
同省の活動の中で、50の訓練クラスと養蚕場の開設、約1500人の養蚕業者の訓練、そして農業開発省とイマーム・ホメイニ救済委員会との間の養蚕業者の訓練に関する覚書の履行について言及しました。
養蚕業者が生産した繭のほとんどは、トルバット・ヘイダリのベイグ地区にある絹紡績工場に送られ、そこでは国の絹の70%が生産されています。