［第　話］

島国に暮らす日本人の性なのでしょう、○○ランキングなるものがネット上には溢れているようです。
「ぜひ行きたい東京の飲食店ランキング」「女の子に人気の自動車ランキング」「芸能人好感度ランキング」等々……数えあげればキリがありません。
大勢の人たちと一緒でなければ不安という島国根性の為せるものがこのランキングなのですが、これは「皆が良いと言っているから良いものに違いない」と自らを納得させるための言い訳となり得るものでもあるのです。

さて先日、ペルシャ絨毯をランキングしているサイトがいくつもあると聞き、驚きました。
売れ筋＝人気ランキングのようでしたが、「これって何の意味があるの?」……というのが正直なところです。
そもそも同じものがあまりない（まったくない訳ではない）のがペルシャ絨毯の醍醐味の一つ。
いわば、自分だけの絨毯を宝探し的感覚で選ぶことができるのが大きな魅力な訳です。
ランキングなどというのはそれとはまったく相容れないもので、そんなことはペルシャ絨毯の何たるかを理解している者なら誰もがナンセンスと言うに違いありません。
つまり、ペルシャ絨毯の本質をまったく理解できていない証拠がこのランキングだということです。

ペルシャ絨毯のランキングなる記事を見ていると誤った情報や忖度があることが分かります。
まったく当てにならないサイトであるにもかかわらず、世間的には需要があるのかもしれません。
仕方ないことではありますが、こうしたランキングなるものを当てにしてはいけない理由を述べてみたいと思います。

ペルシャ絨毯のプロとして思うのは、上位に挙げられているものには、まずよいものはないということです。
どのようなペルシャ絨毯が、どのような評価をされているものなのか気になる人もいるでしょう。
購入するに当たって第三者の意見を聞いてみたいという気持ちも分からないではありません。
しかし、ランキングほど当てにならないものはないことをぜひ知っておいてください。

まず言っておきたいのは、ランキングや評価が高いからといって、必ずしもよいペルシャ絨毯とは限らないということです。
第1位だとか第2位だとか言ってみても、それが自分の好みや家のインテリアに合うかどうかは、まったく別の話です。
上位にランキングされているペルシャ絨毯を購入することで安心する人がいるかもしれません。
またペルシャ絨毯のことはよく分からないので、とりあえずランキングの高い商品にしておこうと考える人もいるかもしれません。
しかし、そのランキングが本当に正しいかどうかを判断することなどできません。

ペルシャ絨毯のランキングなどという記事が溢れるのは、その商品を売りたいから。
絨毯屋にとって、その商品の利益率が高いからに他なりません。
それが、ランキングなるものの正体です。
当てにならないのは当然なのです。

繰り返しますが、ペルシャ絨毯のランキングなどまったくのナンセンスです。
十人十色で、各々の好みも違えば家のインテリアも違います。
ペルシャ絨毯のランキングなどというつまらない記事を読むぐらいなら、ペルシャ絨毯の名品を紹介しているサイトを見て感性を磨いた方が100倍も為になります。
「時は金なり」なのですから。