ペルシャ絨毯を統括するINCCが産業鉱業貿易省に復帰

ペルシャ絨毯を統括するINCCが産業鉱業貿易省に復帰

[画像:マスード・ペゼシュキアン大統領]

マスード・ペゼシュキアン政権の発足に伴う省庁の組織改変を受け、イランの絨毯産業を統括するINCC(イラン国立絨毯センター)が産業鉱業貿易省に復帰することになりました。
イランの絨毯産業が抱える課題の一つとして流通の問題があります。
産業鉱業貿易省のダウード・ムサビ副大臣は、この問題を解決するため金融機関との調整が行われていることを明かしました。

ペルシャ絨毯はその品質と伝統において、他の国々の絨毯の追随を許さないものです。
過去には非石油輸出部門でトップシェア(世界市場の3割以上)を占めてきました。
しかし、1995年5月に施行された輸出・為替規制により輸出量が激減します。
その原因となったのは、1995年の春までに手当てした材料費が極めて高くついたことです。
この為替・貿易規制によりイラン・リアルが市中相場よりも高く固定化され、輸出代金も原則的に、全額イランの公的金融機関に還流することが義務づけられました。
ペルシャ絨毯については輸出代金の30%しか材料輸入に充てられず、また輸出はドル為替をイラン輸出振興センター(EPCI)が指定し、自由に決められません。
価格はドルでいうと、以前よりも輸出価格を上げていて、対外競争力を弱めています。

国内では、業者が輸出で得る代金が固定レートで1$につき3,000リアルしか手元に入らないためリアルでの売り上げが少なく、高い材料費も相まって、業者の輸出意欲は大きく損なわれました。
こうした状況を受け、イラン政府は約700万人といわれる絨毯産業従事者に何らかの救済措置をとらざるを得なくなります。
1997年2月19日からは絨毯の輸出により得た外貨を使った原材料輸入の規制が撤廃され、最大で100%を原材料の輸入に使えるようになりました。
市場調整計画本部ではこれを1997年2月19日から先取り実施すること(ただし原材料の輸入は輸出後2か月以降)と、旅行者による空港からの持ち出し規制を従来の3平米から12平米に拡大することを決めています。
また1997年7月からは、中央銀行発行の外貨精算委託証明書をテヘラン株式市場(TSE)で売却することができるようになりました。

ムサビ副大臣は染料や絹など絨毯生産関連品目の価格高騰は、小規模な工房で活動を始めたいと考えている絨毯業者にとって大きな問題であり、この対策が講じられれば、これらの問題も解決されると言います。
絨毯産業に関わる人々は過去の政策に間違いがあったがあったことを認識しており、国立絨毯センターはその重要性から再び産業鉱業貿易省傘下に置かれることになったという訳です。
また産業鉱山貿易省のヤヒヤ・アレ・エシャク上級顧問は、1949年以来の数十年間、絨毯産業は国内の政治的抗争に巻き込まれ、その犠牲になったと語ります。
「ある派閥は反対派の勢力を無力化することを画策して絨毯産業を標的とし、新たに法律を制定してペルシャ絨毯の輸出を阻害したり、価格を高騰させて産業の基盤を揺るがしたりした」とし、国内外においてペルシャ絨毯の需要が減少したことにより、多くの熟練工がインド、パキスタン、マレーシア、インドネシア、中国に移住し、これらの国々がイランが占めていたシェアを徐々に奪い取ったとをエシャク上級顧問は主張しました。

INCC

イラン国立絨毯センター

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