中国に魂を売ったペルシャ絨毯商

中国に魂を売ったペルシャ絨毯商

わが国では「イースト・ペルシャ」や「高段数」、海外では「シノ・ペルシャ」などと呼ばれる絨毯があります。
これらは中国で製作されたペルシャ絨毯のコピー品です。
中国製のペルシャ絨毯のコピー品は、イランでの生産減少や禁輸措置があった1980年代以降、国際市場に出回るようになりました。
背景にはイラン・イラク戦争とイラン革命による経済制裁の影響があります。
戦争と革命の影響によりイランからペルシャ絨毯の輸出が減った時期、ペルシャ絨毯の代替品として生産が本格化しました。
近年のペルシャ絨毯の高騰を受け、中国の絨毯業者の中にはペルシャ絨毯の信用を利用して、一儲けしようと企む者が現れています。

これまでにも中国のみならず、トルコ、アフガニスタン、インドなどの国々の絨毯業者がペルシャ絨毯のデザインを模倣してきました。
しかし本物に追いつくことはできず、世界の手織り絨毯の市場はペルシャ絨毯が独占してきたのです。
ペルシャ絨毯はイランの悠久の歴史がもたらした遺産であり、他国のコピー品の追随を許さないのは、これを手掛ける人々の地と魂が生み出すものだからです。
ペルシャ絨毯を他の国で製作されたコピー品と異なるものにしているのは、歴史に裏打ちされた「伝統」でしょう。
素材となる糸の生産者から、染色家、デザイナー、そして織師に至るまで、彼らは伝統を受け継ぐ職人であり、一朝一夕には真似のできない技を持っているのです。

ペルシャ絨毯を世界に送り出す役割を担うは、昔より有名なペルシャ商人たちです。
彼らはペルシャ絨毯を輸出することで、祖国の文化を広めてきました。
ペルシャ商人たちは世界有数の工芸品を生み出したイラン人としてのプライドを持ってビジネスに携わっているのです。
しかし最近、一部の商人たちがこれを裏切ったという報道がありました。
とても残念な出来事です。
報道によれば、一部の商人が中国人と結託して、ペルシャ絨毯のコピー品をを中国の工場で製作し、「ペルシャ絨毯」としてに他国に輸出しているといいます。
工場は河南省の鎮平(ちんへい)県にあり、そこではイラン人職人の指導の下、中国人たちの手によりコピー品が製作されているとも聞きました。
彼らはペルシャ絨毯を商うことで世界市場で信頼を得てきたにもかかわらず、この信用を悪用して同胞たちを裏切っています。

この詐欺まがいの行為はいずれ暴露され、中国商人とコピー品の信用はなくなるでしょう。
しかし、この行為は間違いなくペルシャ絨毯とイランの絨毯商の信用をも失墜させるものです。
信用を回復し、再構築するには長い時間と多額の費用がかかります。
中国人は安価な素材と労働力を用いて、本物よりも安い価格でコピー品を販売しています。
安価であることは消費者にとって喜ばしいものですが、やがて本物のペルシャ絨毯でないことが明らかになれば、イランの商人に対する不信感の波が押し寄せるでしょう。
イラン最高の工芸品の信頼性が損なわれる前に、政府関係者と民間活動家はこの行為に対して厳格な態度で臨み、対策を講じるべきです。

出典:APN NEWS

INCC

イラン国立絨毯センター

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