ペルシャ絨毯の折り畳み方

ペルシャ絨毯の折り畳み方

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ペルシャ絨毯は、単なる敷物ではなく、悠久の歴史や類稀なる文化が内包されたイランの伝統工芸品です。
それゆえ敬意をもって丁寧に取り扱われなければなりません。
収納する際には細心の注意を払う必要があります。
収納する際には丸めた状態で床に置くのが理想的ですが、スペースの都合上それが叶わないこともあるでしょう。
手織絨毯の利点は折り畳むことができることです。
これは一般的な機械織絨毯にはない特徴と言えるでしょう。
今回はペルシャ絨毯の折り畳み方について解説します。

まず、ペルシャ絨毯を折り畳む準備として、周囲の環境を整えることが不可欠です。
清潔な場所を選び、床に汚れや異物がないか確認しましょう。
これにより、絨毯が傷ついたり汚れたりするリスクを抑えることができます。
また、折り畳む前に絨毯に付着しているほこりやゴミを掃除することも大切です。
掃除機の使用や、柔らかいブラシを使って軽くブラッシングすることで、絨毯をきれいな状態に保つことができます。

次に、ペルシャ絨毯の折り畳み方に関する具体的な手順に移ります。
まず、絨毯をしっかりと広げ、平らな面で作業を行います。
中央から始め、片側を持ち上げて折り畳むのが一般的な方法です。
折り畳み方には「表畳み」と「裏畳み」があります。
表畳みは、できるだけコンパクトにしたい場合やできるだけ畳み皺をつけたくないときに用います。
ただし、この方法は長期間の収納には向きません。
パイルが表に現れるため、塵や埃がパイルの奥に入り込んだり、日がさす場所では表に現れている部分だけ日焼けしてしまうことがあるからです。

これに対して裏畳みは表畳みよりも嵩張りますが、絨毯の裏面が表に現れるため塵や埃がパイルの奥に入ったり、おかしな日焼け跡がつくことはありません。
よって、長期間収納する際には裏畳みがお勧めです。
ただし、畳み皺はつきやすくなります。

いずれの方法を用いるにしても、ペルシャ絨毯を折り畳む際には均等な幅でたたむことがコツです。
外側から内側に向かって持ち上げ、折りたたんだ部分が自然に重なるようにします。
この方法を繰り返すことで、絨毯全体をコンパクトに折り畳むことができます。
畳み終わったら、絨毯の表面がそろうように注意し、形を整えます。
これにより、次回使う際に元の形を保つことができます。

次に、ペルシャ絨毯を折り畳む際には、あまり押さえつけすぎないように注意してください。
力を入れて折り畳んだ箇所を押さえつけると、縦糸や横糸が切れてしまうことがあります。
ダブル・ウェフトの絨毯であれば、とくに細い方の横糸が切れやすいので要注意です。
また、アンティークのペルシャ絨毯を折り畳むことはあまりお勧めしません。
状態のよいアンティーク絨毯であったとしても、長い年月を経れば僅かながらの劣化は必ずあります。
アンティーク絨毯の修理は現代物よりも高額になるのが普通ですので、より一層の注意が必要です。

以上がペルシャ絨毯の折り畳み方ですが、収納に際しては環境についても注意しなければなりません。
ペルシャ絨毯は湿気にとても敏感ですから、密閉された場所や湿気の多い場所での保管は避けるべきです。
理想的には、風通しの良い乾燥した場所に置くことが望ましいです。
収納する前に、絨毯を通気性のあるカバーに包むと、埃や湿気から絨毯を守ることができます。
ビニールなどの密閉された素材は、湿気をため込む原因になるため避けた方がよいでしょう。

さらに、ペルシャ絨毯を長期間収納する場合は、時折広げて風を通すことが推奨されます。
これにより、湿気がこもることを防ぎ、絨毯が劣化するのを防ぐことができます。
定期的なメンテナンスが、絨毯の質を維持するためには不可欠です。
また、虫食いやカビにも気をつける必要があります。
収納に際しては、防虫剤やカビ防止剤を利用することが効果的です。

ペルシャ絨毯は愛情をもって取り扱えば、それに報いてくれます。
長持ちし、家族の思い出に彩りを添えてくれます。
大切に使い、折り畳み、保管することで、私たちの生活の一部としての役割を果たしてくれるでしょう。
ペルシャ絨毯を所有している人々は、その背景や歴史にも思いを馳せ、一つのアート作品として大切にしていく必要があります。
正しい折り畳み方や収納方法を理解することで、次の世代にその美しさや価値を伝えることができます。
これこそが、ペルシャ絨毯の持つ真の魅力を引き出す方法と言えるでしょう。

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