ペルシャ絨毯の縦糸と横糸の違いについて

ペルシャ絨毯の縦糸と横糸の違いについて

ペルシャ絨毯の縦糸と横糸の違いについて

[画像:横糸を入れている様子]

お客様からよく尋ねられることの一つに「縦糸と横糸の違い」があります。
ペルシャ絨毯は縦糸、横糸、パイル糸の3つ(厳密にはエッジのかがり糸を含めた4つ)によって形成されるのですが、このうち絨毯の構造に関わってくるのは縦糸と横糸の2つです。
この2つはパイルの奥に隠れていて外からは見えません。
唯一見えるのがフリンジで、これは縦糸の末端を処理したものです。

それでは縦糸と横糸の違いについて解説してゆきます。
まず縦糸です。
縦糸(経糸)はイランでは「チェッレ」「ター」「トン」「トーネ」などと呼ばれます。
英語では「ワープ」(warp)です。
縦糸は、絨毯の縦方向に引かれている糸のことで、横糸と組み合わさることで絨毯の基盤を形成し、全体の耐久性を向上させる役割を果たします。
絨毯の、いわば「柱」となるのがこの縦糸です。
また縦糸の数や素材は、絨毯の堅牢性と触感に影響を与えます。

縦糸には木綿が使用されることが多いのですが、ときにシルクやウールが使用されることもあります。
シルクはノット数の多い高級絨毯に使用され、ウールは部族が製作するトライバルラグに使用されるのが一般的です。
木綿やシルクに比べて弾力性・伸縮性のあるウールは本来経糸には適さないことから、部族民以外が使用することはほとんどありません。
縦糸は絨毯のノット数に応じて選択されます。
意匠図のマス目に応じた選択が必要で、太すぎても細すぎてもいけません。

ペルシャ絨毯の製作は織機の上下の梁に縦糸を巻き付けることから始まります。
このとき巻き終わる前に糸がなくなってはいけません。
そのため、糸の量を十分に用意しておく必要があります。
縦糸の間隔を一定にし、重ねて巻いてしまわないよう注意することも大切です。
また、縦糸の張力は均一である必要があります。
縦糸を織機に巻き付ける作業は難しく力もいるため、都市部においては整経師(チェッレ・ケシー)と呼ばれる専門の職人がこれを依頼するのが一般的です。
縦糸は織機に巻き付けられたループの状態で1本1本が上下で一対をなし、パイルはその一対の縦糸に絡められることになります。

次は横糸です。
横糸(緯糸)はペルシャ語では「プード」、英語では「ウェフト」(weft)と言います。
横糸は、縦糸を横切る形で織り込まれ、絨毯の横方向を形成する糸のことです。
絨毯の「梁」に当たり、縦糸の間に横に通ることで、縦糸を支えパイルを固定します。
木綿が一般的ですが、シルクやウールが使用されることがあるのは縦糸と同じです。
また、横糸には赤色や灰色、青色に染色された糸が使用されることもあります。
イラン絨毯会社ではすべての絨毯にインド藍(インディゴ)で染色した青色の糸を使用していますが、これは害虫に対して忌避効果のある藍を使用することで防虫対策をしているとのことです(どこまで効果があるかは分かりません)。

横糸を1本を使用する「シングル・ウェフト」、2本を使用する「ダブル・ウェフト」、3本を使用する「トリプル・ウェフト」がありますが、これは産地による特性です。
ダブル・ウェフトが一般的で、シングル・ウェフトはハマダン地方やバクチアリの一部、トリプル・ウェフトはアンティークのケルマン絨毯やビジャー絨毯のほかギャッベなどにも見られます。
シングル・ウェフトは1列ごと違い違いに縦糸に掛けるすることによって、またダブル・ウェフトは2本の糸の太さを変えることによって一対の縦糸が重なる角度を変えることができます。

90度の角度で縦糸に通された横糸を、絨毯の各列が織られた後に緯打具で叩いて、絨毯の強度を高めます。
横糸は真っ直ぐに伸びている場合(張力が強い)もあれば、波打っていて伸びていない場合(張力が弱い)もあります。
ただし、一対の縦糸の重なる角度は横糸の張力の強さによって異なり、最低で45度、最大で90度になります。
絨毯のタイプ、すなわちダブルかセミダブルか、あるいはシングルかに応じて横糸を選ばなければなりません。

一対の縦糸の重なる角度が90度になるダブル・ノットでは、2本の横糸の太さを変え、張力を異なるものにすることで、絨毯はますます硬くなります。
横糸の張力が弱まり、一対の縦糸の重なる角度が45度になるとセミダブル・ノットになります。
シングル・ノットは横糸が強く引っ張られずに波状になっているため、パイルは一定の高さに並べられます。
横糸の張力が弱いためシングル・ノットの絨毯は柔らかくなっています。
どのタイプにせよ織りが緻密になればなるほど、横糸が絨毯の裏側に見えることがなくなります。

このように縦糸と横糸の組み合わせが、ペルシャ絨毯の耐久性、美しさ、さらには文化的価値を生み出します。
ペルシャ絨毯の構造において、縦糸は絨毯のしっかりした基盤を作り、横糸がそれを支えることで、絨毯が形成されるのです。
つまり、縦糸と横糸の数や質は、最終的な絨毯の品質=価格にも影響することを知っておく必要があるでしょう。

【ペルシャ絨毯の構造】

ペルシャ絨毯の構造は、縦糸、横糸、パイル糸の3つからなります。
2本の縦糸にパイル糸を結び付け、横糸を通し、緯打具で打ち固める作業を繰り返すことにより、美しいペルシャ絨毯が完成するのです。
逆に言えば、この作業がどれだけ繰り返されているかによってペルシャ絨毯の価格は決まります。
織りが緻密になればなるほど作業には手間と時間がかかり、それが価格に反映される訳です。
詳しくは【ペルシャ絨毯の作り方】

をご覧ください。

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