2021/06/27
今回はペルシャ絨毯に織り込まれたサインは誰の名前なのかについて解説します。
絨毯屋の中にはサインについて、デザイナーの名前であるとか織子の名前であるとか説明する者がいるのですが、完全な間違いとはいえないものの、大筋において正解ではありません(×に近い△ですね)。
実はサインというのは一様ではなく、産地によって、あるいは時代によっても異なりますので、ぜひ知っておいてください。
❶絨毯作家の名前:
いわゆる「工房」の作品として織り込まれているのは、工房経営者である絨毯作家の名前である場合がほとんど。
産地名とともに入れられるのが一般的ですが、シリアルナンバーや絨毯組合の登録番号が加えられることもあります。
企業であるICCの作品には「シャリカテ・ファルシュ」(絨毯会社)と織り込まれていますが、サインが入れられていないものも多いです。
❷絨毯作家の名前とデザイナーの名前:
現代のタブリーズではデザイナーが工房専属、あるいは絨毯作家がデザイナーを兼ねるというケースはほとんどなくなっていて(アラバフぐらい)、デザイナーは完全に独立しているため、絨毯作家とデザイナーの両者の名前が織り込まれるのが一般的。
逆にオールド〜セミアンティークのタブリーズ絨毯には絨毯作家の名前だけを織り込んだものが多いです。
❸絨毯作家の名前と注文者の名前:
現代物ではほとんど見かけませんが、アンティーク絨毯にはこのケースが多いです。
年号や地名が加えられることもあります(例:△△市の○○の注文により××がーー年に製作した)。
❹織子の名前:
絨毯作家に雇われた織子が、自らの名前を(勝手に)織り込むことも稀にあります。
雇主に対する後ろめたさからか、目立たないよう小さく入れられているものが多いです。
また、ビレッジラグやトライバルラグにも製織者の名前が織り込まれている作品があり、その場合は年号が一緒に入れられていることもあります。
❺産地名、年号のみ:
ビレッジラグやトライバルラグには産地名や年号だけを織り込んだ作品もあります。
ペルシャ絨毯専門店フルーリア東京では、皆様のペルシャ絨毯選びについてのご質問にお答えしています。
失敗なくベストな一枚をご購入できるよう、フルーリア東京の熟練販売員がご相談に乗りますので、遠慮なく何なりとお尋ねください。