ドイツで横行しているペルシャ絨毯詐欺について
[第 話]
ドイツ北部の怪しげな絨毯業者は、客の絨毯が特に価値があるとして、法外なクリーニング代金と修理代金を騙し取るという特殊な詐欺で金儲けをしています。
業者はイラン伝統の洗浄方によってペルシャ絨毯をクリーニングし、その後海外の顧客にカーペットを販売することを約束した後、担当者が絨毯を持ち帰ります。
ほとんどの場合、客は自分の絨毯を二度と見ることはありません。
1. 被害者のほとんどが高齢者
業者はまずインターネットや新聞に広告を掲載します。
客の多くは高齢者で、彼らは終活のため長年使用してきた絨毯を売りたいと考えています。
大半の客は絨毯の価値を知りませんから、怪しげな絨毯業者は客の無知を利用するのです。
業者はこう言います、「この絨毯はとても価値があるものだから、クリーニングと修理を施しさえば〇〇万ユーロですぐに売れる」と。
あまりにも高額な販売価格に誘惑された客は、クリーニングと修理のために多額の代金を支払います。
業者は25%の手数料がかかることを伝えますが、客は絨毯を販売することで得られる利益を信じていますから、それを了承します。
しかし実際には、業者は絨毯を販売するつもりなど、まったくありません。
2. 詐欺師は店舗を短期間だけ借りる
広告には、怪しげな絨毯業者が数十年の伝統と経験があることが記されています。
業者は様々な町で長く営業してきたような印象を与えますが、実際には空き店舗を安く借りて利用し、暫くするとまた消えてしまいます。
業者は店舗用の内装さえ施されていないような事務所の一室を借りているだけです。
3. ドイツ全土にネットワークを築いた詐欺業者
ハンブルクにある怪しげな絨毯業者の店舗が閉鎖された後も、同じ詐欺の被害に遭う客が相次ぎました。
つまり、マネージャーは他の者と交代して活動を続けるのです。
ハンブルクの怪しげな絨毯ギャラリーのマネージャーもケルンから派遣されていました。
4. 怪しい絨毯業者から身を守るためのヒント
警察に行く客はほとんどいません。
客は詐欺に引っかかったことを恥じており、見知らぬ者を家に入れてしまったことを親族に知られたがらないからです。
以下は、自らが詐欺の被害者にならないようにするためのヒントです。
- 事前に業者の店舗を訪れ、仕組みをよく尋ねてください。
- 店の近所の人に、その店がどれくらい前から存在しているかを尋ねてください。
- 絨毯の価格を調べてください(経年劣化や使用感は大幅に差し引くこと)。
- 別の業者に、クリーニング・修理の代金と、絨毯の価格が現実的であるかどうかを尋ねてください。
- 前払いしないでください。
- 注文確認書のコピーを受け取るまでは、絶対に絨毯を渡さないでください。
- おかしいと感じたら、すぐに警察に通報してください。
高齢化社会が進む日本です。
オレオレ詐欺がそうであるように、高齢者を狙った犯罪は増えています。
同様な事件は今後わが国でも起こり得る可能性があります。