アリー・イブラヒミの作品

アリー・イブラヒミの作品

アリー・イブラヒミの作品
アリー・イブラヒミの作品

イランではアフシャンとよばれる総文様の作品。
メダリオンやコーナーを設けず、パルメットやアカンサスの葉、雲のリボン等をフィールドいっぱいに配したデザインで、これに類似した作品はマシャドやイスファハンなどでも多く製作されていました。
本作は1940年代の作品と推定され、デザインにイスファハン絨毯の影響が認められます。
テヘランにおいては19世紀末から絨毯製作が行われていましたが、1920年代から30年代にかけてカシャーンやイスファハンの職人の指導を受けるようになり、デザインが大きく変化しました。

アリー・イブラヒミの作品

3種類の小さなメダリオンを連続して配置したメダリオン・オールオーバーのデザイン。
都会的で洗練された印象のこのデザインは、のちのハビビアンの作品にも見られます。
メダリオンの四方には2枚のアカンサスの葉で構成された文様が大胆にあしらわれており、これにより作品は動きを得て、よりドラマティックなものへと昇華しているといえるでしょう。
本作も1940年代に製作されたものと推定される一枚です。

アリー・イブラヒミの作品

樹木文様は19世紀末にテヘランで絨毯製作が始まったときから用いられてきた文様で、初期のテヘラン絨毯には一対の大きな樹木をテーマにしたした作品が多く見られます。
しかし本作に織り出された樹木文様はあくまで副次的なものであり、全体のデザインはイスファハン絨毯に倣ったものといえるでしょう。
とはいえ本作のデザインの原形はサファヴィー朝期に製作された絨毯にあり、メダリオンとコーナーは「狩猟文様絨毯」、フィールドは「戴冠式絨毯」から引用されたものであることは明らかです。
しかし、こうした懐古趣味こそは、公的機関の意匠師であった彼ならではの自尊心と愛国心の現れなのかもしれません。

アリー・イブラヒミの作品

大きなメダリオンを中央に配したフィールドはコーナーを持たないデザインで、隅々に至るまで大小さまざまなパルメットやアカンサスの葉などによって埋め尽くされています。
躍動感に満ちたそれらを囲むボーダーもまた力強いアラベスクによって構成されており、作品から伝わるエネルギーこそはイブラヒミの絨毯に注ぐ情熱そのものといってよいでしょう。
本作も1940年代の作品と考えられますが、テヘランにおける絨毯製作は当初より小規模であったため、今日アリー・イブラヒミの作品を目にする機会はほとんどないといえます。

【アリー・イブラヒミの解説】を見る

 

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