ペルシャ絨毯を修理する際に気をつけること

ペルシャ絨毯を修理する際に気をつけること

ペルシャ絨毯を修理する際に気をつけること

[第 話]

ペルシャ絨毯はできるだけ長く使いたいものです。
日頃の手入れと定期的なメンテナンスで健全な状態を維持することができますが、ときに予期せぬ事態に見舞われることもあります。
ペットがかじってしまったり、害虫の被害に遭ってしまったり、煙草を落として焦がしてしまったり……。
そうしたダメージを受けた絨毯を捨ててしまう人がいるのですが、絶対に捨てないでください。
ペルシャ絨毯がダメージを受けた場合、専門の職人が修理することで、元の状態に戻すことができます。
修理を依頼する際には、以下のことに気をつけてください。

1. できるだけ早く修理する
ペルシャ絨毯がダメージを受けた場合は、できるだけ早く修理してください。
ダメージを受けたまま使い続けると、状態を悪化させてしまいます。
すぐに修理することにより、修理にかかる費用を最小限に抑えることができます。
また10年に1度のクリーニングの際、クリーニング業者からダメージを指摘された場合にも、必ず修理するようにしてください。
適切な修理を施すことで、ペルシャ絨毯の寿命を延ばすことが可能になります。

2. ペルシャ絨毯修理のプロに任せる
ペルシャ絨毯を修理するに際して最も大切なことは、決して自分で行わないことです。
修理代を節約したい気持ちは分かりますが、素人による修理は更に状態を悪化させてしまい、かえって費用が嵩む結果を招いてしまいます。
修理はプロの職人に任せるのが修理代を節約する最良の方法であることを覚えていてください。
プロの職人は、修理する絨毯に合う素材と染料を調達し、同じ結び方を用いてパイルを結び直します。
それにより修理箇所は他の部分に違和感なく調和し、目立つことはほとんどありません。
修理が必要なダメージには、虫食い、破れ、穴、エッジのほつれ、焦げ、色褪せ、フリンジの損傷、歪みなどがあります。
作業内容と費用について詳しく説明を受け、見積もりを必ず確認してから依頼してください。

3. 修理代金の安さで選ばない
ペルシャ絨毯の修理代金は思うより高いかもしれません。
それでも修理をする価値はあります。
高額に思えても、ペルシャ絨毯の修理には大変な手間と時間がかかることを知っておいてください。
ペルシャ絨毯の価値を維持する上で、修理は不可欠です。
修理職人の中には、パイルの損傷箇所に色を塗って誤魔化すことを提案する者がいるかもしれません。
この方法は費用を安く抑えることができますが、絨毯に致命的なダメージを与え、価値を大きく下げる可能性があります。
現在、日本にいる修理職人の中で、一流の腕を持った者は数えるほどしかいないのが実情です。
二流、三流ならまだよい方で、来日してから職人になった素人に毛の生えたような者もいますから、職人選びは慎重に行わなければなりません。
時間をかけて、経験豊富な腕のよい職人を見つけてください。
ペルシャ絨毯のような高価な手工芸品は、それに相応しい扱いを受けるべきです。
経験豊富で腕のよい職人が施す修理は、目を凝らしても修理箇所が分からないほどです。

4. 縦横糸が見えるようになったら修理すべき
ペルシャ絨毯を長きに渡って使用していると、パイルが摩耗して結び目が見えてくることがあります。
このような場合、元の状態に戻すにはパイルを結び直すしかありません。
パイルの摩耗は、エッジやフリンジの損傷に比べればそれほど問題になりませんが、パイルが極端に短くなると縦横糸が露出し、絨毯に深刻なダメージを与える可能性があります。
そうした場合は、間違いなく修理が必要です。
ただし、修理の性質上、色を完全に一致させることができるとは限りません。
しかし、熟練の修理職人は可能な限り元の色に近づけられるよう、あらゆる努力をします。
ただし、パイルの摩耗が全体に及ぶ場合、修理代金は同じクラスの新しいペルシャ絨毯を購入するよりも高くなることがあります。

5. 修理ができないものもある
ペルシャ絨毯はほとんどの場合において修理が可能ですが、いくつかのダメージについては修理ができないものもあります。
そのうちの一つが縦横糸の劣化です。
古いペルシャ絨毯の中には畳んだり丸めたりするたびに、パキッと音がするものがあります。
これは劣化した縦横糸が切れる際に発する音です。
このような絨毯を元に戻すことはできません。
二つめはパウダリングです。
パウダリングというのはシルク絨毯に起こる現象で、パイルが劣化して粉末状になってしまうことです。
パイルを撫でたとき、手にパイルの色と同じ色の粉が付着するようならパウダリングしていています。
これも元に戻すことはできません。
いずれも湿気によって引き起こされる現象ですので、ペルシャ絨毯を使用したり収納する際には湿気には十分注意してください。
修理は不可能ですが、タペストリー加工なら可能な場合があります。

6. 状態を定期的に確認する
修理を行った後は、絨毯の状態を定期的に確認してください。
必要に応じてメンテナンスを行うことが大切です。
人と同じようにペルシャ絨毯も健康管理に努めましょう。 パイルを結び直した場合、時の経過とともに色が変わってくることがあります。
そうしたときは、色補修を施すことで周囲に馴染ませることができます。

ペルシャ絨毯は修理を施すことで、その美しさを維持することができます。
とはいえ、何よりも大切なのは修理をせずに済むよう、日頃から取り扱いに注意を払うことです。
神経質になりすぎるのもよくありませんが、害虫による損傷などは少し手間をかけるだけで防ぐことができるものです。
ペルシャ絨毯を納戸や倉庫に保管する場合や、ペルシャ絨毯の上に植木鉢を乗せる場合などは、害虫や水によるダメージを受けていないかを定期的に確認するようにしてください。

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