ペルシャ絨毯は何年くらい使えるのか?
[第 話]
ペルシャ絨毯は何年くらい使えるのか? という疑問はペルシャ絨毯の購入を考えている人なら、誰もが抱くものでしょう。
ペルシャ絨毯専門店の中には「何百年も使える」などと説明するところがありますが、一般的には、ペルシャ絨毯の寿命はシルクで50年から60年、ウールで80年から100年といわれています。
何百年というのは誇張が過ぎるにしても、長きに渡って使用できることは確かです。
ただし、絨毯の寿命はいくつかの要因によって変わってくることを知っておく必要があります。
これらを知っておかないと、せっかく高いお金を出して買ったペルシャ絨毯を、寿命を待たず駄目にしてしまうかもしれません。
ペルシャ絨毯の寿命に関わる要因を以下に記します。
1. 素材の質
絨毯の耐久性には使用されている素材の質が大きく影響します。
高品質な絹や羊毛で作られた絨毯は、安価な素材を使用したものよりも長く持つ傾向があります。
またシルク絨毯よりもウール絨毯の方が遥かに長持ちします。
購入したペルシャ絨毯を長持ちさせたいならウール絨毯を選ぶのが賢明です。
ちなみにペルシャ絨毯はウールだから安いという訳ではありません。
シルク絨毯よりも高価なウール絨毯はいくらでもあります。
2. 縦糸の重なり方
ペルシャ絨毯には縦糸が重ならないシングル・ノット、半分だけ重なるセミダブル・ノット、ほぼ完全に重なるダブル・ノットがあります。
もっとも耐久性があり長持ちするのはダブル・ノットです。
都市部で製作されるペルシャ絨毯のほとんどは、このダブル・ノットで製作されています。
それに対し、農村部や部族の絨毯ではセミダブル・ノットが多く見られます。
シングル・ノットはグーチャンやトルクメンの絨毯などに使用されています。
3. ノット数
ノット数もペルシャ絨毯の寿命に影響します。
一般にノット数が多ければ多いほど構造は密になり、それに比例して絨毯の耐久性も高くなります。
気をつけなければならないのはジュフティ結び(手抜きの結び方)を用いて織られた絨毯で、一見ノット数が多いように見えても、ジュフティ結びを用いて織られた絨毯は耐久性が著しく低下します。
素人には見分けがつきにくいので、購入する際には注意が必要です。
ジュフティ結びはイスファハン、ナイン、ケルマン、ビルジャンド、ムード、ビジャーなどで見られます。
4. 使用環境
絨毯が置かれる環境や使用頻度も耐久性に影響を与えます。
絨毯が直射湿気や直射日光の影響を受ける場所に置かれている場合、劣化が進みやすくなります。
とりわけシルク絨毯にとって湿気は大敵で、湿気の高い場所で使用すると絹糸が酸化し、パウダリング(粉末化)してしまうことがあります。
パウダリングしてしまった絨毯の修理は不可能ですから注意してください。
どうしても直射日光が差込む場所に使用しなければならない場合は、必ずレースのカーテンを使用するようにしてください。
5. 手入れの頻度
絨毯は定期的かつ適切に手入れを行うことで寿命を延ばすことができます。
定期的な掃除や専用の絨毯クリーニングを行うことが重要です。
ペルシャ絨毯も人間同様に健康管理が必要なのです。
掃除機は週に1〜2回はかけるようにし、半年おきに絨毯の向きを180度変えるようにしましょう。また、飲物などをこぼした場合は素早く拭き取り、10年に一度は専門のクリーニングに出してください。
また、納戸などに仕舞う際はクリーニングに出して汚れを取り除き、防虫剤を使用して害虫による被害を防ぐことが大切です。
6. 使用方法
使用方法によってもペルシャ絨毯の寿命異なります。
通行量の多い場所で使用する場合、摩耗や汚れが早く発生する可能性があります。
デリケートなシルク絨毯やシングル・ノットのウール絨毯は通行量の少ない場所に敷くようにしましょう。
また椅子を置いて使用する際は、椅子の出し入れは優しくするとともに、椅子を置く位置を定期的に少しずらすようにしてください。
こうすることによりパイルの摩耗が軽減されます。
ペルシャ絨毯のコレクターたちは同じ場所に複数の絨毯を定期的に取り替えながら使用しています。
そうすることにより部屋の雰囲気が変わるだけでなく、それぞれの絨毯の寿命を伸ばすことができます。
高い代金を支払って購入するペルシャ絨毯です。
どうせなら長く使えるものを選びたいものです。