世界一大きなペルシャ絨毯と2番目、3番目に大きなペルシャ絨毯

世界一大きなペルシャ絨毯と2番目、3番目に大きなペルシャ絨毯

世界一大きなペルシャ絨毯と2番目、3番目に大きなペルシャ絨毯

昭和の昔、髭の作曲家・指揮者として人気だった山本直純が「大きいことはいいことだ」という唄に合わせ、気球に乗って指揮棒を振るCMがありました。
森永エールチョコレートのCMですが、この言葉は当時の流行語にもなりました。
大きいことが必ずしもよいこととは限りませんが、豊かさや成功の象徴として大きな家や車を所有することは、それなりの意味はあるでしょう。
とはいえ、その維持や管理には多大なコストと労力がかかりますから、所詮、私たち庶民には縁遠い話です。

大富豪といえばロックフェラー家やロスチャイルド家などとともに誰もが連想するのが、いわゆる「アラブの石油王」ではないでしょうか。
1991年にロンドンで開催されたクリスティーズのオークションに出品された16世紀のタブリーズ絨毯を240万ドル(約3億2000万円)で落札したのはカタール首長のハマド・ビン・ハリーファ・アッサーニーでした。
この絨毯は現在、ドーハにあるイスラム・アート美術館(MIA)に収蔵されていますが、オイルマネーが注ぎ込まれたペルシャ絨毯としてはこれなどは序の口で、近年来まさに桁外れの取引が行われています。
ドバイのバージュ・カリファは世界一高い建造物、ザ・パーム・ファウンテンは世界最大の噴水、アイン・ドバイは世界最大の観覧車として知られます。
「大きいことはいいことだ」はアラブ人共通の思考なのかもしれません。
ということで、アラブの国々が発注した世界最大から三番目までのペルシャ絨毯について紹介します。

1. 世界最大のペルシャ絨毯
アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビにあるシェイフ・ザイード・グランド・モスク。
この白亜の壮麗なモスクは連邦大統領を務めた前アブダビ首長、ザイード・ビン・スルタン・アン・ナヒアンの命により建設されました。
野球場5つ分、4万人を収容できるこのモスクの総工費は20億ディルハム(約550億円)。
そして、モスク内に敷くためにイラン絨毯公社(ICC)に発注されたのが世界最大のペルシャ絨毯です。
アリー・ハリークが下絵を描き、製織はイラン北東部ニシャープール近郊の3つの村で2006年3月に始まりました。
16歳から60歳までの女性1200人を動員して昼夜二交代制で織りあげられた9枚のパーツは、海路アブダビに搬送。
シェイフ・ザイード・グランド・モスクに到着した各パーツはモスク内に搬入され、更に40人の職人により4ヵ月をかけて縫合されました。
こうして世界最大のペルシャ絨毯は完成したのです。
この5627平方メートル、重量47トンの絨毯の上で7126人が礼拝できるそうです。
推定価格は何と約90億円!
シェイフ・ザイード・グランド・モスクには、直径10メートル、高さ15メートルの世界最大のシャンデリアもあります。

2. 世界で二番目に大きなペルシャ絨毯
アラブ首長国連邦(UAE)のシェイフ・ザイード・グランド・モスクの絨毯ができるまで世界最大のペルシャ絨毯として知られていたのが、オマーンの首都マスカットにあるスルタン・カーブース・グランド・モスクに敷かれている絨毯でした。
この絨毯は4263平方メートルの大きさで重さは21トン。
製作したのはアブダビのシェイフ・ザイード・グランド・モスクの絨毯と同じ、イラン絨毯公社(ICC)です。
ニシャープール近郊の村で600人の織子を動員し、1996年から4年の歳月をかけてパーツに分けて織りあげられた絨毯は、2000年12月にマスカットに到着。
各パーツはモスクに運び込まれて4ヵ月をかけて縫合され、2001年4月に一枚の巨大な絨毯となりました。
この絨毯は、同モスクの天井装飾を鏡に映したかの如く見えるようにデザインされているのですが、視覚のズレを考慮して調整が加えられています。

3. 世界で三番目に大きなペルシャ絨毯
そして、世界で三番目に大きなペルシャ絨毯。
2012年に完成したこの絨毯は、オマーンの首都マスカットのモハンマド・ウッアミーン・モスクに奉納するために製作されたものです。
こちらもイラン絨毯公社(ICC)がオマーン王室から320万ドルで受注したといわれます。
2400平方メートルのこの絨毯は、イラン北東部ニシャ―プール近郊のユセファバドで400人の織子が約16ヵ月をかけて製作。
1平方センチメートルあたり40個のノット数で、全体では10億ノットにも及びます。
俗に「シェイフ・サフィ・ウッディーン」とよばれるオジーブ付きのメダリオンを中心に、大小のメダリオンを配した幻想的なデザインは、まるで宇宙のようです。

それにしても産油国の財力というのは恐ろしいですね。
資源を求めて世界を相手に戦争までした日本からみれば羨むばかりです。
ただし、これらの絨毯はいずれもいくつかのパーツに分けて製作されたもの。
一枚物で世界最大の絨毯はトルクメニスタンで製作され、同国の首都、アシカバードにある絨毯博物館で展示されているトルクメン絨毯です。

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