アフガニスタンからペルシャ絨毯のコピー品を密輸
ここ10年の間、イランの絨毯産業はアフガニスタン製の手織絨毯によって脅かされてきました。
これは約15年前、アフガニスタンのヘラートに手織絨毯の工房が開設されたことに端を発しています。
ヘラートの工房では低質な科学染料、イラン人の好みにマッチしたデザインを用いて生産されています。
驚くべきは、イランの絨毯業者が商品を注文すると、ヘラートの業者は商品を48時間以内にマシャドに届けることができるということです。
ヘラートから届けられた絨毯は、すべて密輸されたものです。
もちろん関税も支払われません。
アフガニスタンの絨毯業者はイランとアフガニスタンのイラン側国境付近に工房を開設し、そこでアフガン難民の織工を雇用していますが、この工房はいわばダミーです。
納品書にはそこから出荷されたかのように記載がなされています。
大量の絨毯がこのような小さな工房で生産されるはずがないにもかかわらずです。
中国は世界の絨毯市場から姿を消しつつありますが、アフガニスタン、インド、パキスタンで製作された絨毯はペルシャ絨毯の市場を確実に奪っています。
これら3か国は、手織絨毯の世界市場におけるイランの主な競争相手です。
とりわけインドとパキスタンは集中化されたシステム、工業的染色と生産管理により、イランの絨毯業者よりも生産能力が高くなっています。
多くの専門家でさえペルシャ絨毯は、もはやインドやパキスタンの絨毯の競争相手ではないと述べています。
アフガン絨毯の特徴の一つは、その薄さ、布地のような質感であり、とても細かく織られているように見えます。
部族のデザインを用いているため、主にカシュガイ絨毯風またはホラサン絨毯風として販売されています。
しかしながら、これらをカシュガイ産と偽ったり、誤解を与えるようなブランド名を冠して販売する業者たちがいるのも事実です。
それらを購入した人の大半は、絨毯をクリーニング業者に引き渡すまでアフガニスタン製であることに気づきません。
絨毯をクリーニングした後、著しい退色が認められるなどして、初めてイラン製でないことを知るからです。
イランの手織絨毯生産組合はこの問題を幾度となく追及してきましたが、いまだ解決には至っていません。
この問題を受け、絨毯産業の労働組合は、イラン製の代わりにアフガニスタン製の手織絨毯を販売することについて多くの苦情を申し立てました。
これに基づきテヘラン手織絨毯販売組合は、アフガニスタン製の絨毯を販売し、これを請求書に記載しなかった場合、罰金と購入者への損失の支払いを含む罰則を設けました。
これらアフガニスタン製の絨毯は、既にイランから日本に輸入され、「イラン製」「ペルシャ絨毯」として販売されています。
ネットオークションやフリマサイトだけでなく、ペルシャ絨毯専門店のサイトにも、明らかにアフガニスタン製と判別できる商品が掲載されていますから注意が必要です。