アフマド・アジャミの作品
イラン国立絨毯博物館に収蔵されている作品で、ダークな地に映える白いガードが印象的な一枚。
内ガードに接するコーナーにはガードと同色の縁取りが施されており、またメダリオンとペンダントにはそれよりもやや暗いトーンで黄色の縁どりが施されています。
このように縁取りを利用して文様を三次元的に見せる技法はアフマド・アジャミの作品によく見られるもので、そのデザインは「ハジ・アフマド」とよばれています。
1910年代の作品と推定される本作には、フィールドとボーダーの花葉の描写にケルマン絨毯の影響が見受けられます。
本作もイラン国立絨毯博物館が所蔵する一枚。
アフマド・アジャミの作品には珍しい一方柄で、フィールド最下部に配置された花瓶から溢れる花々は入り乱れながら上方へと展開し、フィールド一面を覆いつくしています。
こうしたデザインはサファヴィー朝期に作品はなかったもので、1910年代に製作されたと考えられる本作には、上の作品同様に当時のケルマン絨毯の影響が垣間見られます。
それは陰影を用いて西洋画的に織り出された薔薇の花に顕著ですが、繊細なケルマン絨毯とは異なる大胆さこそはアフマド・アジャミの持ち味であり、作品に注ぐ彼の情熱の表れともいえるでしょう。
本作に見られるデザインは、のちにイスファハンやクムの意匠師たちが好んで用いるようになりました。
ボーダーは薔薇の花が生けられた花瓶をあしらった、フィールドと関連性を持たせたデザイン。
※【アフマド・アジャミの解説】を見る