阪神タイガースのペルシャ絨毯?
阪神タイガースのチームロゴと「タイガース優勝」のペルシャ語
1985年(昭和60年)10月に、阪神タイガースが21年ぶりとなるリーグ優勝を果たしました。
それに狂喜したタイガースファンたちが、次々と道頓堀川に飛び込んだり、ケンタッキーフライドチキン道頓堀店(現在は閉店)に設置されていたカーネル・サンダース像を胴上げし、道頓堀川に放り込むなど、大騒ぎとなったものです。
しかし翌年以降、タイガースの成績は低迷しました。
人々はそれを「カーネル像の呪い」と呼ぶようになります。
1988年3月に放送されたABCテレビの人気番組『探偵! ナイトスクープ』に、道頓堀川に沈んだカーネル像を探してほしいという依頼が寄せられました。
当時の探偵局長でタイガースの熱狂的ファンでもあった上岡龍太郎氏は「サンダース像を救出し、払い清めない限り阪神の優勝は一生、望めない」と力説し、番組の企画として潜水調査が実施されます。
しかし、同年の4月まで数度にわたる調査が行われたものの、結局、カーネル像発見することはできませんでした。
長きにわたり低迷をていたタイガースでしたが、ついに2005年、リーグ優勝を成し遂げます。
それを記念して製作されたのがタイガースのペルシャ絨毯なるものでした。
これは関西の絨毯業者がクムの絨毯作家に依頼して製作したとされていますが、実際にはザンジャン産のクム・シルクのコピー品のキリム部に、「阪神タイガース優勝」のペルシャ語とタイガースのロゴを付け加えただけのものです。
当時のザンジャンやマラゲでは「セ・ランゲ」と呼ばれる3色から4色のみを使用したシルク絨毯が多く製作されており、その色調が虎の模様を連想させたのでしょう。
どれだけ作ったのかは分かりませんが、タイガースのお膝元である大阪の阪神百貨店で販売され、そのうち何枚かが売れたようです。
阪神タイガースのロゴが入れられたからといってその絨毯の価値が高まるものではありませんが、熱狂的なタイガースファン、いわゆる「虎キチ」と呼ばれる人々には絨毯の価値など、どうでもよかったのかもしれません。
ちなみに冒頭で紹介したカーネル像は行方不明になってから24年後の2009年、川沿いにある遊歩道の整備作業中に偶然発見されました。
2023年にタイガースは監督に岡田彰布氏を起用。
2005年以来18年振りのセ・リーグ優勝を果たし、クライマックスシリーズでも広島を3連勝で下して日本シリーズへ進出。
オリックス・バファローズとの激闘の末に1985年以来38年ぶり、2度目の日本一の座に輝きました。
これによりカーネル像の呪いは完全に解けたようです。翌年、日本KFCホールディングスは、大阪市の住吉大社でこのカーネル像の人形納め(廃棄処分)を行いました。
ベースはザンジャン・シルク