ペルシャ絨毯の作り方
ペルシャ絨毯の作り方を知るにはペルシャ絨毯の構造について学ぶことが不可欠です。
とはいっても、ペルシャ絨毯の構造はそれほど複雑なものではありません。
私たちでさえ、ある程度の訓練を受ければ製作できるほどのものです。
ただし、ペルシャ絨毯の製作はすべて手作業で行われますから、長い月日と気の遠くなるような作業をこなす根気が必要になることだけは確かです。
以下を読み進めていただければ、なぜペルシャ絨毯が高価なのかがお分かりいただけるでしょう。
ペルシャ絨毯の構造
ペルシャ絨毯の構造は、ペルシャ絨毯の構造は、縦糸、横糸、パイルによって構成されています。
縦糸は絨毯の長さを決め、横糸は絨毯の幅を決めます。
2本の縦糸にパイルを結びつける作業を繰り返してノット(結び)の列を作った後、縦糸に横糸を通して緯打具で叩いてパイルを固定します。
これにより絨毯の模様が形成されます。
ノット(結び目)の種類や密度、エッジなどが重要な要素となります。
手織りで作られる高級な絨毯であるペルシャ絨毯は、これらの要素が緻密に組み合わさって作られ、美しい柄や豊かな質感を生み出します。
経糸と緯糸が交差する点でノットが結ばれ、エッジが絨毯の周囲を囲んで形を整える役割を果たします。
縦糸
縦糸は絨毯の縦方向に並べられる骨格となる糸です。
イランではチェレ、タール、トーン、トーネなどと呼ばれ、一定の距離を置いて均等な力で織機に張られます。
縦糸の素材には木綿が使われることが多いですが、高級品には絹が使用されることがあり、また部族の絨毯ではウールが使われるのが一般的です。
織機に縦糸を張る作業を「整経」(せいけい)といいます。
イランにはチェレケシと呼ばれる整経専門の職人がおり、通常はこの職人に依頼しますが、タブリーズにあるような大規模な工房では専門の職人が常駐しています。
縦糸は横糸の掛け方により重なり具合が変わってきます。
縦糸の重なり具合が違えば絨毯の強度も変わってきますが、縦糸の重なり具合によってダブル・ノット、セミ・ダブル・ノット、シングル・ノットの三つに分けることができます。
ただし、これは地域や年代の違いによるもので、同一産地の作品の優劣を表すものではありません。
なお、ペルシャ絨毯のフリンジは縦糸が露出したものです。
シングル・ノット
イランでは「タフト・バフト」といい、縦糸が横一列に並んでいるタイプを呼びます。
パイルは隣接する2本の縦糸に絡めますが、タフト・バフトはパイルを絡めた縦糸の列がすべて露出するため、ノット数は縦糸の列の半分が正解となります。
絨毯は薄くなるものの、堅牢さはルール・バフトやニム・ルール・バフトよりも劣るので、使用頻度の高い場所には向きません。
トルクメンの絨毯などがこのタイプです。
画像内のノット列は16列ではなく8列です。
セミ・ダブル・ノット
パイルを絡めた2本の縦糸が約45度ずれて重なっているタイプです。
イランでは「ニム・ルール・バフト」と呼びますが、ニムはペルシャ語で半分を意味します。
ビレッジラグやトライバルラグの多くがこのタイプです。
ダブル・ノットほどではありませんが、シングル・ノットよりは丈夫です。
こちらも画像内のノット列は16列ではなく8列です。
ダブル・ノット
パイルを絡めた2本の縦糸がほぼ完全に上下に重なるタイプで、イランでは「ルール・バフト」と呼びます。
露出している縦糸の列の奥にもう1列縦糸が隠れており、二重構造となっているため堅牢で耐久性に優れているだけでなく、デザインを明確に表現することができます。
都市部で製作されるペルシャ絨毯はこのダブル・ノットです。
画像内のノット列は8列です。
横糸
横糸はパイルの列の間に通される、絨毯の横方向に伸びる糸です。
イランでプードと呼ばれる横糸は、パイルを固定し、絨毯の強度を高める役目を果たします。
横糸は縦糸の間を互い違いに通されます。
縦糸と同じで素材には主に木綿を使用しますが、太さは絨毯のノット数に基づいて決める必要があります。
木綿はあまりに細くなると強度と伸縮性が不足するため、織りが細かい高級絨毯にはより強度の高い絹が使用されることもあります。
部族の絨毯ではウールが使用されるのが一般的です。
パイルを一例結び終わるたびに1〜3本の横糸を通し、緯打具で叩いて固定しますが、横糸の本数によりシングル・ウェフト、ダブル・ウェフト、トリプル・ウェフトに分けられます。
シングル・ウェフト
1本の太い糸を横糸として用います。
横糸は列ごとに互い違いに通されます。
勘違いされることが多いのですが、シングル・ウェフトだから弱いという訳ではありません。
シングル・ウェフトはハマダン地方の絨毯に多く見られます。
画像の例では横方向に伸びる濃い灰色の糸が横糸で、点状に白く見えているのが縦糸です。
ダブル・ウェフト
1本の太い糸と1本の細い糸、もしくは2本の同じ太さの糸を交互に通します。
前者は太さの違いによる張力差からダブル・ノットもしくはセミ・ダブル・ノットになります。
ペルシャ絨毯の多くがこのタイプです。
後者は張力に差がないためシングル・ノットになります。
画像の例では灰色の糸が横糸です。
ダブル・ウェフトでは縦糸は見えにくくなります。
トリプル・ウェフト
ダブル・ウェフトの進化形で、3本の横糸を用います。
組み合わせは、太い糸+細い糸+太い糸、細い糸+太い糸+細い糸のいずれかですが、古いギャッベの中には同じ太さの糸を3本(あるいはそれ以上)使用したものもあります。
サファヴィー朝期に製作された花瓶文様絨毯やサングスコ絨毯、ポロネーズ絨毯などがこの構造ですが、現在はほとんど採用されていません。
かつてビジャーではトリプル・ウェフトが用いられていましたが、現代のビジャー絨毯はダブル・ウェフトです。
パイル
パイルは隣接する 2 本の縦糸に巻き付けられる糸でで、イランではポルズ・ガリ、ハワーブ、ハーメ、グーシュト・ガリなどと呼ばれます。
巻き付けられた後、一定の長さに切断されて、絨毯表面の毛羽になります。
つまり、ペルシャ絨毯のデザインはパイルによって形成される訳です。
パイルの素材にはウールかシルクが使用されます。
都市部の絨毯ではウール・パイルの一部にシルクを使用することがあり、これをパート・シルクとよびます。
最近ではパイルの一部に絹の代わりに木綿を使用したものも現れています。
パイルの結び方には主にイラン西部で使用されるトルコ結びと、イラン中部から東部にかけて使用されるペルシャ結びがあります。
トルコ結びとペルシャ結びは同一作品で一緒に使用されることはなく、すべての結び目は同じ結び方で結ばれます。
トルコ結びとペルシャ結びのどちらが必ずしも他方より優れているという訳ではありません。
どちらのタイプの結びにも長所と短所があります。
トルコ結び
ギョルデス結び、左右対称結びとも呼ばれ、トルコ、コーカサス地方、イラン西部を中心に用いられています。
ギョルデスはトルコ西部の絨毯産地の名です。
イランではゲレ・トルキーと呼ばれるトルコ結びはパイル糸の両端が隣接する2本の縦糸の間から出るように結ばれます。
鉤針を使って結べるため、ペルシャ結びに比べると製作期間を短縮でき、パイルは強く固定されます。
ただし、結び目の形状により、結び目をあまり密に詰めるのは困難です。
そのため、トルコ結びは、南コーカスのカザフスタン絨毯に見られるような、より幾何学的なデザインの厚い絨毯に適しているといわれます。
しかし実際はそうでもなく、タブリーズ絨毯のように曲線を多用した薄い絨毯にも用いられています。
もともとイランではペルシャ結びのみが使われていましたが、11世紀にイランがセルジュク朝の支配下に入った際、トルコの女性たちによってトルコ結びが伝えられたといわれます。
ペルシャ結び
セネ結び、左右非対称結びともよばれ、イラン中部以東の国々で用いられています。
セネはイラン北西部の絨毯産地ですが、セネ絨毯はなぜかトルコ結びで製作されています。
イランでゲレ・ファルシーと呼ばれるペルシャ結びは、隣接する2本の縦糸のうちの1本にパイル糸をしっかりと巻き、もう1本は緩めたままにします。
パイル糸は左右のどちらの縦糸に巻いてもよく、右に巻いたものを「左開き」と呼び、左に絡めたものを「右開き」と呼びます。
実際には左開きで織られたものが多く、右開きで織られたものはあまりありません。
ペルシャ結びはトルコ結びよりも密にパイルを結び付けることができます。
そのため、曲線的なデザインの絨毯やノット数の多い絨毯に向いているとされています。
ただし、トルコ結びのように鉤針を使えないので目と指先への負担が大きくなってしまいます。
ペルシャ結びにはオープン・バックとクローズド・バックがありますが、オープン・バックは本来のペルシャ結びで、パイル糸が上側の縦糸に巻かれており、絨毯の裏側から横糸が見えます。
ペルシャ絨毯はすべてオープン・バックです。
一方、クローズド・バックはパイル糸が下側の縦糸に巻かれているため横糸が外から見えません。
クローズド・バックは太い糸を使用する分厚い絨毯に向いており、中国でのみ用いられます。
ジュフティ結び
ジュフティは双子の意で、本来2本の縦糸に絡めるべきパイルを4本の縦糸に絡める「ごまかし」の技法です。
完成までの日数を短縮することができますが、耐久性は大きく損なわれます。
当然、作品としての評価は下がりますから注意が必要です。
ジュフティ結びで製作された絨毯は摩耗が進むにつれ、パイルが絡められていない部分の縦糸が絨毯の表面に露出してきます。
サファヴィー朝期には既に用いられており、ホラサン地方で始まったものが、やがて他の地方にも拡散しました。
1960年代から70年代にかけて米国に向けて大量に輸出された「アメリカン・ケルマン」の多くがこの技法を用いて製作されていたため、のちに大きな問題になりました。
ジュフティ結びが用いられる産地としてはイスファハン、ナイン、タバス、ケルマン、ビルジャンドなどがあります。
ペルシャ結びを使用する産地がほとんどですが、最近ではトルコ結びを使用したビジャー(タカブ)絨毯にも使用例が見つかっています。
ジュフティ結びにはペルシャ結びで5つ、トルコ結びでは1つの方法があります。
ペルシャ絨毯を作る道具
ペルシャ絨毯の製作にはいくつかの道具が必要です。
ペルシャ絨毯の製作に使用される道具には、織機及び綜絖の他に、ナイフもしくは鉤針付ナイフ、鋏、緯打具、杼などがあります。
また産地によってはガシュー、プルバキ、剪毛鋏など、独特の道具も使用されます。
織職人はこれらの道具を駆使して、美しいペルシャ絨毯を織あげるのです。
ここでは普段あまり目にすることのない、ペルシャ絨毯の製作に用いる様々な道具について解説します。
織機
織機はペルシャ絨毯を製作する上で不可欠なものです。
イランでダール・カーリと呼ばれる織機は、縦糸を巻き付けて糸に結び目を作る金属製または木製の枠で、左右の柱と上下の梁で構成されています。
柱と梁は楔によって、金属製織機はボルトとナットによって互いに接続されます。
また、織っている間、上下の梁の間に取り付けられたネジを回すことによって梁を締めたり緩めたりすることができます。
かつては小さなサイズの絨毯を製作するときにも木製織機が使われていましたが、現在は金属製織機に取って代わられています。
しかし、木製織機にはいまでも一定の需要があり、6平米、9平米、12平米などの大きなサイズの絨毯を製作する際にはこれが使用されています。
理由は大きなサイズの金属製織機に比べると木製織機の方が丈夫なためです。
金属製織機は鉄のパイプで出来ているため、6平米もの大きさになると曲がったり壊れたりすることがあります。
しかし、木製の織機は曲がったり壊れたりすることがほとんどありません。
意外かもしれませんが、6平米以上の絨毯を製作するために木製織機を使用する際には、新品よりも中古の方が重宝されます。
なぜなら新しい木製織機は完全に乾燥していないため、僅かに曲がる可能性があるためです。
逆に比較的小さなサイズはの絨毯を織るには金属製織機が最適で、織師の多くがこのタイプの織機を使用しています。
金属製の織機にはいくつかの種類がありますが、使い方はすべて同じです。
そしてそれらの唯一の違いは、作業中の身体への負担です。
織機を組み立てるときは、梁と柱を接続するときの角度が直角になるように注意しなければなりません。
そうしないと絨毯が曲がってしまいます。
織機には左右の柱の上部に30センチほどのネジが付いており、それを回すことによって上梁の高さを調整できます。
上梁の高さを調整することにより梁の中央が縦糸の圧力で壊れるのを防ぎます。
ペルシャ絨毯の織機は竪型と水平型の2つに大別されます。
竪型織機よりも水平型織機の方が設置や分解が楽ですが、竪型織機には占有スペースが少なくてすむ、背中や目の問題が軽減され作業の効率があがるなど多くの利点があります。
竪型織機は都市部や農村部で使用され、水平型織機は部族民によって使用されます。
部族の織手は一般に、分解や取り付けが簡単な横型織機を好みます。
竪型織機を使わずに大きな絨毯を織るのは難しいため、水平型織機で織られる絨毯は小さいものがほとんどです。
織手はパイルを結び終えた箇所に座って作業します。
水平型移動式
遊牧民・半遊牧民が使用する原始的な織機で、上下の梁をそれぞれ地面に打ち込んだ2本の木製あるいは金属製の杭で固定しただけの単純な構造です。
縦糸を上下に振り分ける綜絖(中筒)は、三角錐に括り付けるか2本のY字で支えるかした棒に固定します。
杭を抜けば携帯でき、一時間ほどで組立あるいは分解が可能なため、移動生活に向いています。
この織機は遊牧民の減少に伴い、姿を消しつつあります。
水平型固定式
主に部族出身の定住民が使用している織機で、竪形固定式を水平型にした造りです。
サイズに限界がある移動式とは異なり、大きな絨毯を製作することも可能。
移動式は木製ですが、固定式には金属製のものもあります。
竪型固定式
水平型を進化させたもので、竪型の基本となるタイプです。
竪型は水平型のように場所をとらないのが最大の利点ですが、水平型よりも設置が困難です。
固定式は作業の進行に合わせて座の高さを変える面倒があるものの、背中や目にかかる負担を軽減できます。
また、進行状況や仕上がり具合を一目で確認することができるため、水平型で製作された絨毯よりもデザインや寸法が正確になり、作品の質が高くなります。
一般に小さなサイズの製作に用いられますが、農村部では大きなサイズに至るまで固定式を用いることもあります。
竪型回転式
竪型固定式を改良したもので、イランでは「タブリーズ式」(ダール・タブリージ)と呼ばれます。
作業の進行に合わせて回転させられるのが特徴。
座る位置を変える必要がない上、同じ大きさの固定式に比較すると2倍の長さの絨毯を製作することが可能です。
竪型巻取式
トルコから導入された織機で、イランでは「ケルマン式」(ダール・ケルマニ)と呼ばれます。
下の梁がローラーになっているタイプで、織りあがった部分をこれで巻取りながら作業を進められます。
このため大きなサイズやランナーの製作に適しています。
上下の梁に取り付けられたレバーを回すことによって梁を回転させて巻き取りますが、前で巻取るタイプと後ろで巻取るタイプの2つがあります。
綜絖(そうこう)または中筒(なかづつ)
綜絖または中筒とは、絨毯の幅より少し長い、直径4~6cmほどの木製または金属製の棒のことです。
並んだ縦糸の間に挿入され、絨毯の幅を調整します。
また、縦糸を1本おきに上下に振り分ける役目も果たします。
ナイフ
ナイフは一般にペルシャ結びを用いる産地で使用され、結んだ後のパイルをカットするのに用いられます。
2本の縦糸にパイル糸を結び付けたあと、ナイフを使って余分なパイル糸を切り取ります。
ペルシャ結びはパイルを結ぶ作業が指で行われるため、目や指先に負担がかかります。
ナイフはイランでは「チャクーエ・バフト」(製織用ナイフ」と呼ばれますが、特別なものではなく、カッターナイフなどでも代用できます。
鈎針付ナイフ
鉤針付ナイフは先端がフック状になったナイフで、織師はこれを使って縦糸を前方に引っ張り出してパイル糸を結び付けたり、縦糸と縦糸の間からパイル糸を引き出したりします。
またナイフ部分を使ってパイル糸の余分な部分を切り取ります。
タブリーズ式とも呼ばれるこのナイフは、トルコ結びを用いる産地で使用されます。
結ぶときに糸を傷つけないように先端が滑らかに磨かれていることと、ナイフの部分は厚いほど重くなってパイルを結ぶ速度が遅くなるため、できるだけ薄くするのが理想的です。
鉤針の部分の大きさも重要で、大きすぎると縦糸に引っかかって作業が困難になり、小さすぎるとパイル糸が引っ掛かりにくくなります。
ナイフの部分は1ラジ(約7cm)になっています。
緯打具(いだぐ)小
横糸を固定するには、先端部が櫛状になった緯打具を使って叩きます。
この道具はイランの各産地で、ダフェ、ダフティン、コーム、カルキットなどの異なる名前で呼ばれており、トルコ結びで使用される緯打具とペルシャ結びで使用される緯打具とは若干形状が異なります。
ペルシャ結び用の緯打具とトルコ結び用の緯打具の違いは、ペルシャ結び用では歯が平行であるのに対し、トルコ結び用では歯に僅かに角度が付けられていることです。
トルコ結び用の歯の数はペルシャ織りのものよりも少なくなっています。
歯は鋭くはないので、縦糸だけでなく横糸も傷めません。
緯打具(いだぐ)大
緯打具には様々なタイプがあります。
こちらは比較的織りの粗い絨毯を製作する際に用いられるタイプです。
これらよりも、もっと大きくて重いものもあります。
使い方は小さなものと同じです。
また緯打具の歯の間隔は縦糸の間隔に比例する必要があり、緯打具の重さは絨毯のノット数に比例する必要があります。
持ち手は木製で革が張ってあるものがベストです。
緯打具を使用するときは、手首に重みがかかるようにスナップを効かせます。
鋏
鋏は結んだパイル糸を切るために使う道具で、イランではゲイチー・ダスティといいます。
1列以上織り込んだら、緯打具でパイルの列を調整し、長いパイルを手鋏で切ります。
鋏はまた、織りあがった絨毯を織機から外すときにも使用します。
鋏で余分な縦糸を切って織機から外し、その後、絨毯の裏側の無駄毛を刈り取って滑らかにします。
ハンドルは作業しやすいよう迫り上がっています。
剪毛鋏(せんもうばさみ)
剪毛鋏は大きな特殊な鋏で、織りあがった絨毯のパイルを均等にしたり短くしたりするために使用されます。
2枚の刃が真ん中でつながっていて、刃の頭は鋭利で上向きになっており、一部が盛り上がっています。
可動保持プレートは触点の部分にボルトで固定されています。
鋏のハンドルは肘のようにカーブしていて、作業がしやすくなっています。
絨毯のパイルを切り揃えるために、静刃と動刃の間に一定量のパイルを置き、ネジを締めてからパイルを剪断します。
織り手は片手で鋏の指穴を持ち、もう片方の手で峰の部分を持ちます。
杼(ひ)
先端にフックが付いた柔らかい金属製の棒で、イランでは「シーク・プーデケシ」と呼ばれます。
杼を縦糸の間に押し込んでフックで横糸を掴み、織られた尾根上でそれを引っ張ります。
多くの町では、この作業は手を使って行われ、一段パイルを結んだ後、織師は縦糸の間に手を差し込み、もう片方の手で横糸を引っ張ります。
杼は糸を傷つけないように先端が磨かれていること、また弾力があり乾燥せず、糸が通りやすいものであることが必要です。
ガシュー
鋸に似た短く幅広の金属製の道具です。
パイルを一列に結び終えたら、余分なウールを取り除き、結び目を適切な位置に収めるために、織師はガシューを結び目からカーペットベッドの方向に引っ張り、ハサミで切ります。
結び目を配置することに加えて、このアクションによりカーペットがエレガントで滑らかで均一になります。
プルバキ
ブルパキは、ケルマンやホラサンなどの一部の地域で、結び目を前方に引っ張り、結び目をよりよく重ね合わせるために使用される道具です。
プルパキは薄い鉄板で出来ており、バターナイフのような形をしています。
ブルパキの使い方は、上からパイル列の端にしっかりと当てて叩きます。
シャーリング・マシーン
イランでは「ゲイチー・バルキー」(電動鋏)と呼ばれるシャーリングマシンは、絨毯の表面を均一に整えるための機械です。
絨毯を織りあげた後、パイルを均等に切り揃え、美しい仕上がりを実現するために使用されます。
シャーリングマシンによって毛足が均一に整えられることで、質感や見た目が向上し、より高品質な絨毯に仕上がります。
シャーリングマシンは、絨毯の種類や仕上げ方によって異なる刃の形状や設定が必要となるため、熟練した職人が機械の設定や操作を行います。
ペルシャ絨毯の仕上げにおいて欠かせない機械であり、製品の品質向上に大きく貢献しています。
ペルシャ絨毯の製作工程
ペルシャ絨毯を作る工程は、まず準備したウールやシルクの糸を染色することから始まります。
染色には自然の植物や昆虫、鉱物などが使われ、特有の色合いが生み出されます。
その後、染色された糸を用いて、織機で絨毯を織ります。
デザイナーが作成した意匠図に基づき、熟練した職人によって手作業で織りあげられます。
織りあがった絨毯は余分な縦糸を切断して織機から下ろされ、最後に絨毯の仕上げ作業が行われて、耐久性や美しさを保つための工程が完了します。
織機と素材の準備
ペルシャ絨毯を製作するための道具の準備は絨毯作家によって行われます。
絨毯作家は織機や意匠図、素材などを用意し織師に提供します。
かつて部族民の家庭では、これらを準備するのは一家の男性の役目でしたが、現在は絨毯商の管理下に置かれているため、絨毯商が準備を行います。
織機の組立
大量のペルシャ絨毯を生産する大きな工房(作業場)では、あらかじめ用意された織機を織師に提供します。
しかし、在宅の織師に製織を依頼している小さな工房では、織師自身が織機を組み立てます。
大きなサイズのペルシャ絨毯は複数人で製作するのが普通なので、織機の組み立ては織りを担当する複数の織師が集まって行います。
整経
整経とは織機に縦糸を張る作業のことを言います。
通常は「チェッレケシ」と呼ばれる専門の整経師に依頼しますが、小さなサイズの絨毯を製作する場合や部族民は織師がこれを行います。
現在、大規模な工房では作業のスピードを上げるため、整経に機械が使用されています。
綜絖の設置
縦糸を織機に張った後、織機の幅に応じて用意された綜絖によって縦糸が上下に分割されます。
綜絖により縦糸が上下に分割されることにより、横糸が通しやすくなります。
チェーンステッチ
ペルシャ絨毯を織り始める際には、まず織機に張られた縦糸の底部をチェーンステッチする必要があります。
この作業はキリムの部分を織り始める前段階です。
チェーンステッチが施されることによりキリムの横糸が安定し、しっかりとしたキリムを織ることができます。
キリムの製織
パイルを結び始める前にキリム織りが行われます。
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末端部の製織
キリムの部分を織り終えたら末端部の製織に入ります。
織師は複数の結び目を作成してペルシャ絨毯を製作します。
パターンの製織
ペルシャ絨毯の末端部を織った後、いよいよ意匠図に沿ってパイルが結ばれます。
ここからが絨毯織りの本番となります。
1列パイルを結んだら横糸を通し、次の列のパイルを結びます。以後は延々とこの作業が繰り返されます。
数列パイルを結び終えたら、鋏でパイルを大まかに切り揃えます。
キリムの製織とチェーンステッチ
すべてのパイルを結び終えた後、絨毯の構造を固定するために再びキリムを織ります。
キリムが織りあがるとチェーンステッチを行ってキリムが解けないようにします。
これにより絨毯は十分な強度と耐久性を持ち、織機から絨毯を切り離しても構造が壊れることはなくなります。
この作業が終わると長い月日をかけた織師の仕事は完了です。
切取
ペルシャ絨毯の織りの工程がすべて終了したら、絨毯を織機から下ろします。
この作業には棟梁あるいは織師の正確さと専門知識が必要です。
絨毯を織機から下ろしたら、絨毯作家は絨毯の代金を支払います。
剪毛
この目的のために、カーペットのすべてのパイルを一度にカットすることはできません。
カーペットが反ったり、波打ちが生じたりする可能性があるためです。
そうなると、絨毯織り職人の苦労がすべて無駄になってしまいます。
カーペットを引き下げるには、まずパイルをいくつかの異なる部分に分割し、次に各部分をハサミで根気よくカットして、カーペットが波立たないようにします。
もちろん、家庭で小さなカーペットを織る場合は、特別なハサミの助けを借りて、カーペットの各列の後にカーペットを仕上げることができます。
また、以前は手動支払いの方が一般的でした。
しかし現在では、カーペットのテクスチャーが増加し範囲が広がったため、この作業はテクスチャーを仕上げた後に仕上げの専門家によって行われています。
この目的のために、この目的のためのブレードを備えた特別な研磨機が使用されます。
カーペットの上で刃を動かしながら磨いていきます。
熱処理
手織り絨毯の製造工程のうち、最終工程では絨毯の裏面を熱処理します。
この作業はガスバーナーを用いて行われるため、カーペットの織り目に突き出た根の一部が破壊され、カーペットの裏側からの美しい効果が得られます。
洗浄
手織りカーペットの質感が得られるこの段階では、カーペットを洗浄し、色を固定する必要があります。
カーペットのテクスチャに使用されている色はほとんどが植物や自然のものであるため、他のカーペットの色や他のモチーフに染めることも可能です。
もちろん、これは時間の経過とともにカーペットの外観を悪くする原因になります。
このため、色安定化は特殊な素材を使用して行われます。
カーペットを傷つけないように、カーペットの洗浄もこの専門分野の専門家が行う必要があります。
乾燥
手織りカーペットの質感が得られるこの段階では、カーペットを洗浄し、色を固定する必要があります。
カーペットのテクスチャに使用されている色はほとんどが植物や自然のものであるため、他のカーペットの色や他のモチーフに染めることも可能です。
もちろん、これは時間の経過とともにカーペットの外観を悪くする原因になります。
このため、色安定化は特殊な素材を使用して行われます。
カーペットを傷つけないように、カーペットの洗浄もこの専門分野の専門家が行う必要があります。
仕上
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矯正ベルト取付
最後に矯正ベルトを取り付けます。
ペルシャ絨毯の製作日数
一日に織師が結ぶノット数は速い人で8000ノット、平均値は5000ノットといわれます。
ペルシャ絨毯の製作日数を計算するにはまず絨毯全体のノット数を算出し、平均値である5000で割ればおおよその製作日数がわかります。
たとえば100×150(cm)のサイズで1平米あたり100万ノットの絨毯があるとします。
この絨毯の平米数は1.5平米。
絨毯全体のノット数は100万ノット×1.5平米=150万ノット。
製作日数は150万ノット÷5000ノット=300日ということになります。
これは1人で織った場合の日数ですが、大きなサイズになればなるほど織師の人数は増えるのが一般的です。
また、トルコ結びとペルシャ結びとでは結ぶ速さが異なりますし、デザインの複雑さや作業時間等もありますから、この算出法あくまで目安であるということを理解しておいてください。
ペルシャ絨毯のノット数の数え方
ペルシャ絨毯のノット数を数えることは難しいことではありません。
絨毯の裏面に定規やメジャーを当てて数えればよいだけです。
残念なことに、ほとんどの「専門家」ノットカウンターは、1 つのノットが 2 つのノットとしてカウントされることが多く、撚られていない糸のストランドを使用すると、1 つのノットが 8 ノット以上と誤解されることを認識していません。
まず、ラグの裏から見た 1 つの結び目がどのように見えるかを学ばなければなりません。
手織りの敷物の裏側には、何千もの小さな四角い「突起」が見られます (下記を参照)。
私たちはこれらの「隆起」と結び目の関係を学ばなければなりません。
これらの四角い「バンプ」は、以下に示すように、たて糸の周りにループする結び目の目に見える部分です。
すべてのペルシャとトルコの結び目には 2 つのループがありますが、両方のループが見られるのは一部の敷物だけです。
ほとんどのラグにはループが 1 つだけ表示されます。
いくつかの敷物には 1 つのループが示されていますが、もう 1 つのループの一部にすぎません。
ノットを数える前に、各ノットを 1 回だけ数えていることを確認する必要があります。
ペルシャ絨毯の不完全要素
手織のペルシャ絨毯の魅力は、その自然な不完全さにあると言えるかもしれません。
ペルシャ絨毯は、主にウールで作られていますが、ウールは不均一な素材で、絨毯の質感や厚さにばらつきが生じます。
こうした不均一さがユニークな模様を生み出し、絨毯全体の見た目の魅力を高めています。
更に手織であるがため、ペルシャ絨毯は各々微妙に色やデザインが異なり、唯一無二のものとなります。
こうした不均一さがペルシャ絨毯に個性を与えるだけでなく、大量生産では再現できない魅力をも与えるているのです。
いわば、不完全さと優れた職人技の組み合わせこそが、ペルシャ絨毯を特別なものにしていると言えるでしょう。
作品の不完全さが、本物の手工芸品であることを証明し、価値あるものにしています。
また、僅かなばらつきが絨毯の見た目や感触に興味深い次元を加え、長年にわたって楽しめる目を引く作品を生み出すのです。
以下にペルシャ絨毯に起こりうる6つの不完全さと、その原因について解説します。
織り方の誤り
織り方の誤りは、絨毯の価値を低下させることを覚えておくべきでしょう。
織り方が間違っていると、絨毯の繊維が引っ張られて裂け、修復できない損傷を引き起こす可能性があります。
したがって、長年にわたって使用できる高品質の絨毯を作るには、織師の高い技術が不可欠です。
適切な手入れを行えば、手織のペルシャ絨毯は何十年も美しい工芸作品であり続けます。
デザイン上の間違い
ペルシャ絨毯は手作りであるため、デザイン上の欠陥がよく見られます。
これらの不完全さは、織り方の誤りほど有害ではありませんが、あまりに酷い場合、絨毯の美的価値を損なう可能性があります。
模様内の空白や色の不一致は、ペルシャ絨毯で最も頻繁に見られるデザイン上の問題の一部です。
こうした欠陥を防ぎ、質の高い職人技を確保するには、伝統的なデザインや技法に精通した経験豊富な織師に依頼することが大切です。
白い斑点
白い斑点は、ペルシャ絨毯によく見られる欠陥の一つです。
白い斑点は、織り方が不適切であったり、絨毯のパイルが摩耗して縦横糸の繋ぎ目の高さがパイルの最上部を超えたときに発生します。
白い斑点は染料で染めるか、パイルで覆って隠すことができますが、常にそれができるとは限りません。
それができない場合、白い斑点は絨毯の表面に残りますが、あまり気にする必要はありません。
適切な手入を行えばそこからほつれるようなことはなく、ペルシャ絨毯は最高の状態を保ち続けます。
色の不均一性
ペルシャ絨毯には色の不均一性が見られることがありますが、これは染色工程のばらつきが原因であることが多いです。
これは、使用される素材の違いや、染色技術の不一致が原因である可能性があります。
こうした小さな違いは絨毯に個性と魅力を加えるものであり、欠陥と見なすべきではありません。
むしろ、それらを受け入れ、ありのままに見ることが大切です。
つまり、絨毯に個性を与える本物の証なのです。
パイルの不均一性
ペルシャ絨毯には、ウールのパイルがすべて均一な長さではないパイルの不規則性も見られます。
これは通常、ウールの結び目がきつすぎたり緩すぎたりして、表面が不均一に見える場合に発生します。
これは見た目に悪影響を及ぼす可能性がありますが、必ずしもラグの品質が悪いということではありません。
実際、パイルの不規則性はラグに個性と独自性を加え、ラグをより特別でユニークなものにすることがよくあります。
対称性の欠陥
ペルシャ絨毯のデザインには、左右対称なものがよくあります。
つまり、上下の中心線を挟んでデザインは鏡に映した画像のようになるはずですが、織りの途中で間違いが発生し、対称にならないことがあります。
一見すると不均一な外観になる可能性がありますが、受け入れれば絨毯に独特の魅力を与えるものとなります。
デザインの不完全さは欠陥としつではなく、愛すべき個性の一つとして見なされるべきです。
ペルシャ絨毯の生産に関わる組織
ペルシャ絨毯の生産に関わる組織には、伝統を守る職人の組合、大規模な絨毯工場や政府機関などがあり、それぞれが技術の継承や品質管理、生産支援、文化の保護などの役割を果たして絨毯産業を支えています。
ペルシャ絨毯の生産に関わる組織には、まず絨毯製造の伝統を守り続ける職人の組合があります。
組合は、術やデザインの伝承、職人の育成、絨毯の品質管理などを行い、絨毯産業の発展に貢献しています。
また、大規模な生産を行う工場や工房があります。これらは多くの織機や設備を有しており、多くの職人を雇用しています。
イランでは、絨毯産業を支援するための政府機関が設立されており、技術の向上や輸出促進、文化・観光の振興などを目的として絨毯産業を支援しています。
それぞれが技術の継承や品質管理、生産支援、文化の保護などの役割を果たして絨毯産業を支えているのです。
イラン絨毯会社(ICC)
イラン絨毯会社は外国企業であったイースタン・カーペット・マニュファクチャリング・カンパニーの撤退後、当時の政府により1935年に設立されました。
工場の譲渡により、当初からイラン絨毯会社の運営に健全な基盤が築かれ、現在(2019年)、この会社は当時のイランの熟練労働者から受け継いだ80年以上の貴重な専門的経験に支えられています。
同社は世界的にも珍しい手織絨毯生産会社の一つとみなされており、イランの過去の遺産の価値を保存し、イランのカーペット織りの技術と伝統を生かし続けるという使命を負っています。
イラン絨毯会社の主な目的の 1 つは、高級な原材料を入手し、その後援の下で製造されるカーペットにそれらが適切に使用されるようにすることです。
この目標は 1954 年に実現し、国のカーペット産業に必要な高品質の原材料を生産するための工場がテヘラン郊外のカラジに開設されました。
50年近くの経験を持つ彼らは、最高品質の羊毛ボールを生産し、イランおよび世界中の最高基準に準拠した素材の選別、洗浄、紡績、染色などのサービスを提供しています。
カラジの工場では最高級のスプリングウールを用途に応じて、またカール、長さ、ミクロンなどの羊毛の物理的特性に応じてさまざまなカテゴリーに分類し、茜の根、クルミの殻、ザクロの皮、ブドウの葉、コチニールなどの天然染料を媒染剤にはヨーグルトを用いて染色しています。
また、横糸に使用する木綿糸は強度が増すように紡績機にかける前に湿らせ、紡績後は藍で染色し防虫効果を高めています。
またこの着色手順は、カーペットが古くなると特別な魅力を与えます。
イラン カーペット カンパニーは、最も経験豊富なパターン作成者とカーペット染色者を自由に使えるイラン最大のカーペット デザイン部門を運営しており、40人を超える熟練したデザイナーを擁しています。
同社は、自社の生産に必要なすべての図面とデザインを準備しており、さらに、最も精巧で独創的なイランのデザインを求める全国のカーペット生産部門のさまざまな要求を満たす能力を備えています。
デザイン部門は会社の設立と同時に業務を開始したため、当該部門がカーペットデザインの分野で80年以上の経験を積んで実績を上げていることは特筆に値します。
イラン カーペット カンパニーのデザイン部門は、2000を超えるサンプルからなるマザー デザインの貴重なコレクションに支えられ、そのようなデザインを自社のカーペットに最大限に活用しています。
同部門はまた、その比類のないコレクションを国内のすべてのカーペット製造工場に提供し、イラン絨毯の描き方の独創性を保ちつつ、顧客の特別な好みやスタイルに合ったあらゆるデザインの注文を国内外から受ける準備も整えています。
イラン国立絨毯センター(INCC)
イラン国立絨毯センター(Iran National Carpet Center)は、イラン政府により、2003年に工鉱産業省内に設立された機関です。
文化的および芸術的遺産の保存と促進を目的として、かつては複数の省庁に分割されていたペルシャ絨毯の生産と販売に関連する活動と法律を纏める役割を担っています。
イランの手織り絨毯業界を支援し、産業全体の発展や経済的な成長を促進しており、ペルシャ絨毯の生産者や協同組合に対し、技術指導や品質管理の向上、デザインの改善、生産効率化などの支援を行っています。
また、国内外の展示会や販売促進イベントを主催し、ペルシャ絨毯を世界市場に紹介することで、産業の国際競争力を高める取り組みを行っています。
イラン国立絨毯センターはイランの絨毯業界の発展と持続可能性を重視し、伝統的な技術や文化の継承、生産者の福祉向上、地域経済の活性化を目指して活動しています。
全国手織絨毯協同組合連合
全国手織絨毯協同組合連合(National Handwoven Carpet Cooperatives Union)は、イランの手織絨毯業界における協同組合を結集してペルシャ絨毯の生産者や職人の権益や福祉を保護し、業界全体の発展を促進することを目的として、1994年に設立された非営利団体です。
ペルシャ絨毯の伝統的な製造技術や文化を維持し、職人や生産者の生活水準を向上させることを目的として活動しており、ペルシャ絨毯業界における協同組合の連携と協力を強化し、手織り絨毯製造者や職人の経済的な繁栄と安定を支援しています。
また、ペルシャ絨毯の生産技術や品質管理の向上、生産者間の協力促進、市場へのアクセス支援など、手織り絨毯産業全体の発展をサポートしています。
具体的な活動としては、各協同組合に対する技術的、財政的、経済的正当化計画の作成や組合員向けライセンスの発行、協同組合・組合の活動許可証の発行を行うほか、農村部の社会保険、遊牧民および補足保険のサポート、個人および法人を対象とした事業計画を作成し、協同組合開発銀行に紹介することなどを行っています。
イラン絨毯科学協会(ICSA)
イラン絨毯科学協会(Iran Carpet Science Association、ICSA)は、2013年に科学研究技術省の下に設立された組織で、イランの絨毯産業に関連する科学的研究や技術開発、教育、情報交換を促進しています。
絨毯産業に関わる研究者、絨毯作家、デザイナーらが参加しており、その目的は絨毯産業に関する科学的な知識や情報の収集・共有・普及、研究の推進、技術革新の促進、教育の支援などです。
協会は、絨毯の製造技術や素材、デザイン、品質管理、市場動向などに関する研究や情報交換を通じて、絨毯産業の発展を支援しています。
また、絨毯に関連するさまざまな学術的な分野にわたる研究者や専門家が集まり、絨毯産業のさらなる発展や国際競争力の向上を目指して活動しています。
学術論文や研究プロジェクトの支援、研究者や専門家の交流、セミナーや研究会の開催などを通じて、絨毯科学の発展と普及に貢献しており、イランの絨毯産業の技術革新や品質向上、デザインの革新、教育の発展などに寄与し、絨毯産業の持続可能な発展を支援しています。
テヘラン絨毯デザイナー協会
テヘラン絨毯デザイナー協会は、2017年に文化イスラム指導省の認可により設立された非営利団体です。
ペルシャ絨毯のデザインの向上や振興、デザイナー同士の交流、教育・研究の促進などを目的として活動しており、各産地の絨毯デザイナーや絨毯作家が所属しています。
イラン全土のペルシャ絨毯のデザインや技術の向上を目指し、メンバー同士の情報交換や意見交換の場を提供するとともにペルシャ絨毯のデザインの革新や発展をサポートしています。
また、絨毯デザインに関する展示会やイベントの開催、ワークショップやセミナーの実施、若手デザイナーの支援なども行っており、イランの絨毯文化とデザインの継承、発展を促進して、絨毯産業の持続可能な発展に貢献しています。
テヘラン絨毯デザイナー協会は、絨毯デザインの多様性や芸術性を尊重しつつ、現代のデザイン要素や需要にも対応した活動を展開しています。
イラン農村手織絨毯中央組合(ETFA)
イラン農村手織絨毯中央組合は1987年に農業開発省のもとに設立された非営利団体です。
主にイランの農村部におけるペルシャ絨毯の生産者や職人を支援する組織で、絨毯の製造技術の維持・向上、生産者の技術教育、販売促進、市場アクセスの支援などを通じて、農村部のペルシャ絨毯産業の発展を促進しています。
ペルシャ絨毯の古典的なスタイルの復活は、イランの絨毯生産の主要な課題の1つと考えられており、組合員は、伝統的な技術を活かしながら、品質の向上やデザインの創造性、生産効率の向上などに取り組んでいます。
イラン農村手織絨毯中央組合は組合員に対して技術指導や研修プログラムを提供し、生産技術の向上や品質管理の強化を支援するとともに、生活水準の向上や販売促進のための市場開拓活動を行い、国内外の企業にペルシャ絨毯の輸出に関わるあらゆるサービス(クリーニング、通関、輸送など)を提供しています。
本部をテヘランに置き、全国に21の地方組合と285の協力会社があります。
年間生産量は80万平米以上で、50万人以上の織工が加盟しています。
イラン手織絨毯生産・輸出業者連合(IRCPE)
その目的は、イランの手織り絨毯の役割と地位を促進し、その作品の生産と輸出を保存し支援すること、またこの歴史あるイランの文化と芸術の発展を支援すること、手織り絨毯の製造業者と輸出業者の協会です。
法律に従ってイラン商工会議所に所属する織りカーペット。そしてその規定が制定されました。
イランの手織り絨毯の提供者および輸出者の連合
このデータベースでは労働組合と呼ばれているのは、労働組合であり、専門的で非政治的、非営利の組織です。
組合の中心拠点はテヘランにあり、必要に応じて国内外に支部を開設することができる。
イラン手織絨毯研究センター
経済的、社会的、文化的、芸術的側面において手織りカーペット芸術産業が重要な位置を占めているため、(カーペット研究所)は 1375 年に設立されました。
建設開発省と農業省の合併に伴い、研究所は農業開発省の研究、訓練、推進組織に組み込まれました。
手織絨毯研究センターには、イラン・イスラム共和国政府の年間予算に特別融資枠が設けられています。
このセンターは、国内で唯一の手織り絨毯の研究を専門とする公的機関です。
戦略的かつ応用的な研究を実施するという手織り絨毯芸術業界の深いニーズを考慮し、このセンターの目標には、科学的・研究的支援と、イランの手織り絨毯の復活、存続、促進のための適切な解決策を見つけることが含まれます。
イラン養蚕会社
イラン養蚕会社は、当時の農業農村開発省の提案と名誉評議会の承認により、1359年に農業部門とノガーン卵の生産、ギーラーンシルクの繭の乾燥に関連する施設の合併により設立されました。
企業、ピレーヴァル、絹産業団地。この会社は農業省の農業集落会社の子会社の 1 つであり、国の近代農業の受託者とみなされています。
同社は 4 つの生産農場を持ち、600 ヘクタール以上の桑畑を栽培し、年間 3,000 箱の蚕の繁殖能力を備えています。
7 か所のノーガン卵作業場を持ち、ハイブリッド ノーガン卵の公称生産能力は 200,000 箱あります。
さらに、改良された桑の苗木も保有しています。
年間1,000,000本の桑の苗を生産できる農場。
イラン蚕育会社の本社はラシュトにあり、その他の管理センターと支店はギラーン、マザンダラーン、ゴレスタン、ファース、イスファハーン、フゼスタン、東アゼルバイジャン、アルデビル、ザンジャン、ケルマン、ヤズドの各州にあります。
農業開発省
農業開発省(Ministry of Agriculture Jihad)は、イランの省庁の1つで、2000年に建設開発省と農業省の2つの省が合併して設立されました。
イランの農業・農村開発に関する政府機関であり、農業政策の立案と実施、農業生産の促進、農村地域の発展支援など、農業部門全般の発展と持続可能性を目指して活動しています。
農業開発省は、イランの農業セクターにおいて、生産性向上や技術革新、持続可能な農業開発を推進するための施策を担当しています。
省は、農業生産者や農村住民の生活向上を支援し、農業部門の効率化や近代化を促進するための支援プログラムを展開しするだけでなく、農業政策の策定や実施、農業技術の普及、水資源管理、農業保険制度の整備、農産物の市場開発など、幅広い分野において活動しています。
また国内外の農業関連機関や国際機関との連携し、持続可能な農業開発と環境保護に取り組んでいます。
農業開発省は、国内の農業部門の発展と農村地域の持続可能な発展を担う重要な機関であり、農業生産者や農村住民の福祉向上と国の食料自給率の確保に向けた取り組みを推進しています。
参考文献サイト
- 『絨毯・シルクロードの華』(1994年、朝日新聞社)
- 『ペルシア絨毯図鑑』(1986年、アートダイジェスト)
- 『ペルシャ絨毯研究』(2011年、ヤサヴァリ出版)ペルシャ語
- https://arias.ir/ https://esfahanfarsh.com/ https://ghalin.com/ https://exircarpets.com/ https://donyayfarsh.com/ https://jamesbarclay.co.uk/
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会社名 | フルーリア株式会社 |
代表者 | 佐藤 直行 |
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